六章
堺から京へ
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
ルイス・エーリカ・フロイス。正史ではルイス・フロイスではあるが、明智十兵衛という日本の名前を持つ、奇妙な少女の連れが増えた俺達は、その後五日間でという短い期間に堺の町を見学した。会合衆と呼ばれる大商人とも面を通し、エーリカの知人の南蛮商人とも関係が持てた。エーリカにも通訳をしてもらったが、沙紀にも通訳をしてもらったので助かった。お蔭で武器・弾薬などの供給元を確保出来たって久遠は喜んでいたけれど、個人的にはそれ以上の収穫があった。日本に無くヨーロッパにある、果物や家畜何かを手に入れられるように、交渉出来たからだ。無論病原菌とかも対策もしないといけないが、そこは俺達の知恵で何とかした。
久遠も堺を見学した事で色んな勉強ができたそうだ。尾張のみの感覚だった久遠の考え方も、実際に銭を中心とする堺の運営方法。または経済とかの見学もした事によって、更に具体的な構想として昇華する事ができた模様で、久遠は稀に見る程のご機嫌だった。嬉々として会合衆に質問し、その答えを真剣に聞いている久遠の横顔を見た俺はいつまでもついて行こうと改めて思った。勉強家だなと思っているが、どこまで高みを目指すんだろうかが分からない。それから堺から京に行くために、沙紀はトレミーに戻した。ひよ達はもっとお話したいと言っていたが、沙紀も仕事がるんだと言ってから戻した。早朝よりまだ暗かったが、堺から出て馬を走らせて一路京へ。そして京の町について見た物は・・・・・。
「京都、って確か京の都とか言われる日本で、一番優雅なところのはずなのでは?」
尾張清州、美濃井之口、そして堺。それなりに見てきた町の中でも、一番静かで、一番見窄らしい町だった。
「応仁の乱以降、京は寂れる一方何ですよ。何でも公方様は言うに及ばず、畏き所でさえ、その日の食べ物にご苦労なさっていると聞きます」
「戦乱の世とはいえ、お労しい限りですね・・・・」
「そうかな?庶民達は生きるのに必死になってお金を稼いでるんだよ。お金が欲しければ、稼げば良いのに」
「雲高き所に在す方々に、それは無理だよ、ひよ」
「いや。ひよの言う通りである。今苦労しているというのならば、その苦労を覆すために動けば良い。人に跪かれる事に慣れ、野性を無くしてしまったからそのような事態に陥るのだ。・・・・自業自得であろう。必要ならば手に入れる。手に入れるために困難があるのならば、その困難を己の力で粉砕する。・・・・生きるとはそういう事ではないのか」
まあ確かにそうだけど、悔しくや苦しいと思っても自分が動かなければ、自分が変わらなければ、現実は何も変わらないであろうな。現代でもそうだが、他者の指図を待っていたり他者の好意に縋るというのは、いずれ身を滅ぼす。自分で考えて行動しなければ意味がない。
「ですが、それは少し危険な考
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ