ターン35 鉄砲水と菓子屋の陰謀
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しにくい微妙な空だ。
「様子が変だけど、何かあったの?ってさ」
これは僕が悪いんだろうか、それとも彼女が鋭いんだろうか。まさか正直に話すわけにはいかない、ということぐらいは僕にもわかる。だって自分で言うのもなんだけど、これただのストーカーだもん。
んー、何かいいごまかしは………よし、決めた。ごまかすネタがどこにもないなら、自分で作ればいいじゃない。
「(サッカー、お願い!)」
なるべくさりげなく手を後ろに組んで、デッキを軽くたたいてシャーク・サッカーを呼び出す。あっちの方でなんでもいいから何か騒ぎを起こしてくれればそれを理由に逃げ出せる!
「あ、あれ清明、本当にどうしたの?保健室行こうか?だってさ」
「え、ああ、うん、別に平気だよ、元気元気。それより夢想こそ、最近体調とかどうなの?」
「私?別に何もないよ、だって」
ますます不思議そうな顔になって首を傾げる夢想。ああ駄目だ、何か言うほどドツボにはまってる気がする。それにしても今のポーズ、かわいいなチクショウ。
「危ないぞ、そこの君!」
と、そこでようやくサッカーが何かしてくれたらしい。切羽詰まった感じの声に振り向いて、そのままその方向に駈け出そうとしようと思っていた。あくまでも思って『いた』、大事なことなので繰り返しました。ともかくそう思ってました、手もない鮫の体で何をどうやったのかこっちに向かって勢いよく回転しながら飛んでくる植木鉢、しかも中に土がたっぷり詰まった飛び切り重そうなやつを見るまでは。
「っ!?」
だけど大丈夫、あの程度のスピードならダークシグナーにとっては全然たいしたことない、本気出せば余裕でかわせる………と、そこまで考えた時点で背筋が凍った。もし僕がこれを避けたら、どうなる?当然あの植木鉢が止まるわけでもなし、位置的に言って僕の真正面にいる夢想にあたっちゃうじゃないか!ったくサッカーめ、もう少し考えてくれたってよさそうなものを!
「でーい!」
スッと腕を後ろに引いて、特攻してくる植木鉢を迎え撃つように打ち出したパンチ一発!焼き物の植木鉢程度、今の僕の体なら骨も折らずに叩き割れるはず!
だが、そんな計算すらもあざ笑うように、植木鉢の軌道がすっと変わった。野球でいうところのフォークボール、つまりは落ちる球である。全体重をかけて突き出した拳は空振りし、その腕の下を通って僕の腹にボディーブロー。
「へっ?」
悲鳴すら上げる暇はなかったのは、情けない声を聞かれなくてラッキーだったと捉えるべきなんだろうか。あまりに一瞬の出来事で腹に力を込めて耐えることすらできず、そのまま意識が遠くなっていった。
「………うー、痛てててて」
目が覚めるとそこには見知った天井、具体的に
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