ターン35 鉄砲水と菓子屋の陰謀
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雪さんが懐から取り出したのは、顔写真入りになっている1枚の名簿。よく見るとランキング形式になっているそれのタイトルはそのものズバリ、
【アカデミア女子大調査!毎年恒例、今年のチョコをささげる人は?ランキング! ※男子禁制】
「……………一体、どんな裏ルートから持ってきたんですかこんな紙」
「余計な詮索をしないで、書いてあることに目を通してごらんよ」
そう言われ、内容に目を通してみる。えーとなになに、吹雪さんがダントツ1位でっと。お、万丈目もいる。あ、三沢の名前も書いてあるな。カイザーはもう卒業したから全部無効票扱いとはかわいそうに。で、ちなみに僕の名前はあるのか………あった!?
「遊野清明、全校順位79位。コメントとしてはそこそこ美形な中性的な顔立ちがいい、という見た目的なものと料理の腕がうまく、頼めばよく色々なものを作ってくれるという優しい性格にひかれたものが多いね。デュエルの腕がいいのも評価高いよー。ただどちらにも共通しているのは本当ならもっといい順位にいてもおかしくないけど、本人には意中の人がいるようなのでチョコは諦めます、という点」
「ほ、本当だ………」
うわあ、恥ずかしい。明日からどんな顔して学校行けばいいんだろうこれ。変に意識しないのが一番なんだろうけど、ううむ。ちょっと紅茶でも飲んで落ち着こう。
「さ、これでわかったかい?僕に言わせればね清明君、君は自然体を装うってことが苦手なんだろう。だから、そんな君が彼女をデートに誘おうとしても……」
「で、デートっ!?」
あまりと言えばあまりに不意打ちな爆弾に思わず噴き出した紅茶をサッと何気なくかわし、吹雪さんは絶好調な様子で熱弁をふるう。
「おっと危ない。まあとにかくだ、その様子だと厳しいようだけど。慣れないことをしようとして無駄に緊張して滑舌も悪くなって、彼女がOKを出したとしてもそのあと寮に帰って恥ずかしさのあまり悶絶することになるだろうね。食事が喉を通らず大事を取って早めに寝たら寝坊する姿が目に見えるようだよ」
「………なんですかその無駄に細かいビジョンは」
でも、実際そう言われると思い当たる節はある。というか、もうそんなふうになる未来しか見えないぞ僕。じゃ、じゃあどうすれば………
「って、だからそれを相談しに来たんですよ。生活費切り詰めてこれだけ作ってきたんですから、何かいい案があったらバシバシ言ってくださいよ〜」
「うーん、そう言われてもねえ」
「万丈目に聞きましたよ?七星門の鍵を盗ってったのってあれ吹雪さんの入れ知恵なんでしょう?」
「いや、確かにそうだけどね?別に手を貸さないなんて言ってないんだけど、あの娘はちょっと難しいからね」
あ、この人たぶん夢想にも一回手を出そうとしてたな。あの渋い顔を見る限り
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