ターン35 鉄砲水と菓子屋の陰謀
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「まま、どうぞどうぞ遠慮なさらず吹雪さん」
「ありがとう、それじゃあいただくよ。それにしても、一体どういう風の吹き回しだい?君がブルー寮まで来るなんて珍しいじゃないか」
「さささ、どうぞどうぞ!!いいからこれ全部あげますんでまずは食べてくださいよ!」
「あ、ああ……」
ここは、ブルー寮の吹雪さんの部屋。向かい合って座る僕の勢いに押し切られるような形で僕の持ち込んだ自家製クッキーやら自家製マドレーヌやら自家製ブラウニーその他もろもろエトセトラを少しづつ口に運び、優雅な動きで紅茶をすすった。こういう動作の1つ1つも、この人が(無駄に)モテる理由の一つなんだろう。
「………うん、おいしいじゃないか。僕もいろいろな女の子からお菓子をもらったりしたけど、これはかなりレベル高いよ。これ、君が作ったのかい?」
「それ嫌味ですか………あ、いえなんでもないです、はい。料理と菓子には少しばかり自信がありますから」
この言葉は本当。特に料理に関してはここ最近のレッド寮の食卓を仕切ってることもあってかなり色々できるようになってきた。具体的には両手で包丁を使ったり右手でキャベツを千切りしながら左手で揚げものをしたり。
もっとも、ユーノからは『ロクでもねえ特技だな』の一言でバッサリ切り捨てられたけど。
そんなことを思い出している間に、口元を軽く拭いた吹雪さんがこっちを見た。
「さて、本題に入ろう。わざわざこんなところに何も言わずにたくさんのお菓子を持ってきた、そしてこれだけの種類があるにもかかわらず1つも入ってない、おそらく意図的に避けたのであろうあるお菓子がある………これが意味するところはひとつ、違うかい?」
「さすが吹雪さん、わかってらっしゃる」
そう、ぼくがわざわざこんなにたくさんの手土産まで持って来たのにはわけがある。それも、この学園中ではこの人に頼むのが一番現実的な。
「チョコだね?」
「はい!!」
そう、これが今日この場所に僕が来た意味。男子の本懐、バレンタインデーである。これまでだったら適当に冷めた目を送りつつ「リア充のバーカ」と言ってるだけの日だったのだが、今年からは事情が違う。なんとしてでももらいたい人ができたんだから。
「なるほどね。バレンタインまであと5日、それまでに彼女、河風夢想の好感度を稼ぎたいと。つまりはそういうわけだね?」
「はい……」
まさか相手までばれてるとは思わなかった。おかしいな、いつもそんなそぶりは完璧に隠してたはずなのに。なんで知ってるんだろうこの人。
「いや、そんな目で見られても………割とバレバレだよ?」
「なんですとーっ!?」
「うん。だってほら、これ見てごらんよ。ちょっとしたルートを使ってこの間もらってきたものなんだけど」
そう言って吹
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