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Cross Ballade
第3部:学祭2日目
最終話『交差譚詩曲(クロスバラード)』
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とも、絶対いい彼氏できると思うぜ」
 律が言うと、刹那は再び、
「結局榊野の中でも、平沢さんと伊藤は玉砕したって評判になったからね」
「まあそうね。唯先輩も彼氏に振られたと桜ケ丘でも噂になってるもん」
 刹那の隣の梓は、ぶっきらぼうに話す。
「それにしても、」刹那はチーズケーキをフォークで切りながら、「結局私は、最後まで敵に塩を送る形になっちゃったけど、よかったのかな……」
「まあいいよ。」世界は刹那に答えて、「それが、刹那の選んだ選択なのだから。私は刹那が選んだ道は、間違っていないと思うよ」
「ほうほう」律はにやりと笑みを浮かべ、「ま、それでいいんでねえの?」

 刹那と梓が会話するその傍らで、なぜかムギがバスケットボールを持ってドリブル・フェイクの練習をしている。
 よく見ると、壁にバスケットのゴールがかかっている。
 ムギが設置したのだ。
「ムギさん、何でこんなところでバスケの練習してるんですか?」
「これ?」ムギは少しひきつった笑顔で、「甘露寺さんに、少しでも近付きたいかな、と思って……。私の中では、やっぱり甘露寺さんは、さわやかな女バスのエースだもの……」
目を遠くするムギを見て、急に周りの雰囲気が重くなる。
「そう言えば、甘露寺はどうしたんだ?」
「実は、」世界は深刻な顔になり、「彼氏と休憩室で……しているところをビデオに撮られていて、学祭の後の打ち上げで、皆の前で見せられてしまって……。
顧問にもチクられたから、レギュラーの座をはずされたそうです。人望も失ったみたいで……。
家でずっと寝込んでいるようです……」
「そうですか……」
 ムギは注意深く表情を消した。悲しいとか、気の毒とか言う雰囲気も出てはいるが。
「なるほど。それで談判を断ったのか」律は脱力して言う。「そうか……」
「あれこれやることやってましたからね」
梓は多少、呆れた。

「……そう言えば、平沢さんと誠、結局プラトニックな関係で終わったみたいですね。」世界が話題を変えて、「隠しカメラで、沢越止が平沢さんを襲おうとしたのも写っていて。誠が止めたみたいです」
「そーかそーか」
「どちらかと言えば平沢さんに彼女になってほしかったかな。……でも、誠が桂さんを選ぶなら、仕方ないかな」
「ま、今となってはどうでもいいよ。でも唯先輩と伊藤がプラトニックな関係で終わったのはよかったと思う」
 と、梓。
「ビデオを見た人達は、『ヘテロカップル誕生と思ってたのに、すかしかよー』って不満げだったけど。結局誠は、桂さんをこれ以上裏切ることはできないんだそうで」
 刹那は紅茶をグイッと飲み干すと、
「……そう言えば、平沢さんも秋山さんもさっきから来ないけど、どうしたんだろう?」
「伊藤と桂と、一旦図書館で落ち合ってから行くって。借りたい本
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