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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第283話】
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 遠くでカラスの鳴き声が聴こえる中、シャルが――。


「え、えっと……。 僕達の機体のどれかをヒルトに貸すって……」

「えぇ。 ……もちろん、機体の機密情報に関しては一時的に閲覧不可能な状態で貸すのよ? ……他の証拠は、お姉さんが揉み消すから遠慮なく貸してあげなさいな♪」


 証拠を揉み消すという穏やかでは無い事態に、美冬が――。


「で、でもそれじゃあ生徒会長が危ないんじゃ……」

「あら? 大丈夫よ? お姉さん、それなりに危ない橋を渡るの、好きだし」


 口元を扇子で隠しながら穏やかでは無い言葉――。


「……何でも良いから早くやろうぜ。 ……てか、先に着替えてくるからな。 ヒルトを倒したら、今度は更識生徒会長、あんたを倒す」

「うふふ、勇ましい言葉ね♪ 着替えるまでには決めておくから安心なさいな」


 そう言って一夏を見送ると、振り向く――。


「あの、更識生徒会長――」

「長いから楯無で良いわよ? 女の子の名前じゃないけど、更識家当主になるものは皆【楯無】の名を受け継がないといけないから、呼びにくいかもしれないけどそう呼んでね♪」


 ……確かに、女の子の名前としては楯無っておかしな名前だなって思ったが。

 ……なら本名は何だろう?


「で、では楯無さん。 僕達がヒルトに専用機を貸す事自体は皆異論は無いです。 寧ろ僕はヒルトの力に慣れるなら嬉しい……。 だけど、セシリアやラウラの機体は次期【イグニッション・プラン】候補用の次世代機、鈴も中国の開発した次世代機ですから……」


 困ったように眉を下げるシャル。

 確かに彼女達に危ない橋を渡らせるのもどうかと思うが――。


「……シャルちゃん。 その為に私が居るのよ? キミ達の長である私、【更識楯無】がキミ達の立場が危うくならないように立ち回るから」


 真っ直ぐな眼差しに嘘偽りは無く、この人に任せればセシリア達の責任問題――何だか、本当に揉み消す、そんな気がした。


「……決めるのは最終的にキミ達が決めるのよ。 お姉さんが出来るのは、キミ達の立場が危うくならないようにする事、今日の模擬戦のあらゆる証拠を消すこと、今この場に居る生徒全員に箝口令を敷く事だけだから」


 ……言ってる事が穏やかじゃない分、俺自身が不安になるが――。


「……わかりましたわ。 ……シャルロットさん、ヒルトさんの力になりたいのはわたくしも同じですわよ。 それに……見てみたいですわ、他の方がわたくしの機体をどう扱うのかを、どの様に立ち振る舞うのかを。 ……見るだけでも、参考になると思いますので」


 胸に手を当て、柔らかな表情で俺を見るセシリア。


「……そうね。
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