話と授業
[1/5]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
桜華の話を聞き終えてから蓮華は家に居る時と何ら変わりない行動をしていた。
手馴れた手つきで材料を切っていき、フライパンに入れ炒めていく。そして盛り付けてゆく。
「こんなもんか」
牛フィレ肉を焼き、塩を添えたものと、根菜とトマトソースのパスタである。そして、四種のチーズのピザと、デザートのケーキと様々な料理が出来ていた。
出来上がった料理を見ながらある事を思い出す。
「―――原初異能かー」
蓮華がまつろわぬ神と激動の四日間戦いで遇った神が蓮華に言った謎の言葉。
異能には様々な系統がある。シリウスの持つ肉体系に、桜華の持つ魔眼系。知り合いの自然支配系に、呪現化系と他にも様々な系統がある。そんな中でも原初異能というのは考えた事があったが一度も耳に入れたことは無かった。
「ま、アテナに聞いてみるのが一番か」
蓮華はアテナの居る部屋へと向かったのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
ホテルの一室。そこの窓際に座って物思いに耽っている人物がいた。
考えている事は一つ。友人の子について、《投函》の魔術で送られてきた手紙の内容であった。
「……蓮華が神殺しに成った…ね」
何時か成るのだろうと分かっていたので驚きはあまり無い。ただ、有るとすれば十二歳で成ったか位だ。
「久々に顔でも出そうかな?」
それにと呟き、ベッドの方を見る。微かに動いている影は寝息を立てていた。
それを見て丁度いいかと思い、その人物は仕度をするのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
本来まつろわぬ神にとって人の食事とは嗜好品である。彼らは食べなくても生きていける。
ただ、家の守護神の場合は三百年程、御剣と過ごしている為、食事を取る変わった神だと言えるだろう。
「何時食べても思うが、本当に良い腕前だな」
「それはどうも。土産物のワインもあるから三階の談話室で飲もう」
今は月が出ていて、月見酒には丁度いい。
「洒落ているな」
「一人酒は詰まらんと言って、十歳の子供に酒を教えた女神の台詞ではないと思うな」
日本酒、神酒、ワインと酒に合う摘みを作らせたり、晩酌につき合わされたりと色々と教えられたのだ。
「仕方あるまい。飲める者が蓮華しか居なかったのだから」
「カズキさんや鏡夜さんも時々来るでしょ」
片や後見人。片や叔父にあたる二人だ。まあ、家に来るのは誕生日や新年の挨拶。行事関係と仕事が忙しくて中々来ないのだが。
「あの二人は酒を嗜む程度にしか飲まんからな。付き合いきれずに酔い潰れる」
「さいでしたね」
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ