暁 〜小説投稿サイト〜
SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
序章  はじまりの街にて
2.変わる世界
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でまったく面識は無かった。
 二木に聞いたのは茅場晶彦という人物が行った功績だけだ。人物像までは解らない。
 だが、先ほどの声を聞いて、俺はその言葉が真実であろうことだと確信していた。
 これから俺は、いや、ここにいる一万人ものプレイヤーは、命を賭けて自由のために戦う、戦わないといけないのだろう。
 しかし俺は、茅場の声からも同じように命を賭けている……そう思わせる響きを感じた。
 とりあえずは、俺は茅場の言葉が全て真実だという前提で行動する。そういう結論に至った。

 そうと決まれば、まずは自身を強くしなくてはならないだろう。
 強くする。つまり自身のレベルを上げればHPの上限が増える、すなわち死ぬ確率も少なくなるということだ。
 RPGでのレベルの重要性は、二木に何度も聞いていた。何度も何度も聞かされて来た。

「……二木」

 今では、お前がこの世界に来なくて良かったと思っている。
 この《死の可能性の在る世界(ソードアート・オンライン)》に。
 だけど、このことを知ったお前は、俺が知ってるお前なら、きっと泣いてしまっているのではないだろうか。
 このゲームに俺を誘ったのは自分だと、先にログインしててくれと言ったのは自分だと、だから自分のせいなのだと。

 俺は、――違う、お前のせいじゃない。と心の中で自分が想像した二木に応える。

 ただの想像、なのだが俺には、あのとき俺を引き止めた二木の顔から、その情景が本当の出来事になると思えてならなかった。

「…………二木。心配するな……俺は、必ず帰る」

 ――届かない。

 そうは思ったが、だけど俺は空に向かって呟いた。
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