SAO編
序章 はじまりの街にて
1.運命の日
[8/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
木も解っているだろう。解っていたとしても、二木は今日一緒ゲームがしたいと言ったのだ。
「……せっかく、せっかく……やっと一緒に出来るんだ。ホントに、ホントに早く帰ってくるから……な? 頼むよ……」
二木が、泣く寸前のような顔で俺にすがるように言った。
俺の知る限り、学校に俺以外の友達は、二木にはいない。
それは俺も同じだが、二木はずっと自分と一緒にゲームが出来る相手を探していたように見えた。
軽く聞いた限りでは、他のネットゲームでの知り合いも、学校にいる同じ趣味の奴とも、長くは続かなかったらしい。
自分の行動が裏目に出て、段々と溝が出来ていって、最後には完全に他人になるのだと言う。
だからこそ、今までで一番長く付き合いが続いた俺と、自分の趣味であるゲームをするのが余程楽しみだったのだろう。
二木の言葉には、一種の悲壮感が籠められていた。
だが、その二木の様子に俺は、逆にどこか暖かい気持ちになっていた。
友達がいなかったのは俺も同じだ。
そして、友に求められるということが、こんなにも暖かい気持ちになれるなんて知らなかった。
「……解った。そもそも今日は泊まる予定だったな。……仮想世界で足手纏いにならないように、先に行って練習していよう」
泊まる予定、というのは定まっていなかった、と言う意味では本当だ。
ナーヴギアを使った完全ダイブ。これには人によって合う合わないがあるらしい。
限りなく現実に近しいが、それでも現実ではない情景は、合わない人ならば俗に言う《3D酔い》というものになることもあるそうだ。
勿論、慣れることで改善することもあるらしいが。
《仮想世界》、そして《SAO》というゲーム、これらに合わない場合は、泊まりはしないと決めていた。
もし酔ってしまったら、ゆっくり慣れさせていこうという話は二木としていたのだ。
しかし、二木の言葉を聞いて、つい泊まると言ってしまった。
言葉を言った後のことを考えるよりも先に口が動いていた。こんなことは初めてだった。
「……東雲。 あ、ありがとな! すぐ! ソッコーで帰ってくるからよ!」
だが、二木の元気が戻ったことを考えれば、それはけして悪いことではないと思った。
俺は時計を見て、自身のナーヴギアをかぶって二木に言った。
「……もう、公式サービスとやらは開始したな。……じゃあ、二木。俺は先に行っている」
「ああ、最初は見ててやるから。リンク、してみろよ。あ、俺はログインしたら中央広場にいるからな。何時になるかちょっと解らないけど……」
二木の言葉に頷き、俺は布団に横たわって目を閉じてから……その言葉を、呟いた。
「……《リンク・スタート》」
こうし
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ