SAO編
序章 はじまりの街にて
1.運命の日
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目覚ましの如くいきなり叫んだ。
「マジで!? 免許皆伝!? それってアレだよね? 免許が皆伝ってことだよね!? スッゴイじゃん! あの化け物じーさんから、よく貰うことができたな!」
二木は、まるで自分のことのように喜んでくれた。それは素直に嬉く思う。
一度だけ、二木を自宅へ招待して、祖父との稽古を見せたことがある。
実際には無理矢理付いて来たのだが。
そのときに見た、祖父の人間離れした動きを思い出しているのだろう。確かに祖父は、孫の俺からしても化け物じみていたと思う。
「でも良かったじゃん! これで一緒に遊ぶこともできるってことなんだしさ!」
「…………ああ、そう……だな」
素直に嬉しがっている二木、しかし俺はそこまで喜ぶことはできなかった。
そんな俺の雰囲気に気付いたのか、二木が尋ねて来た。
「おい、どうしたんだ? 嬉しくないのかよ?」
心底、不思議といったような間抜けな顔で訊いてくる。
「……俺と祖父は、先日試合をした。その試合で俺は勝ち、免許皆伝を授かり、祖父と稽古から解放された」
「うん。良いこと……なんじゃねーの?」
「……だがその試合の翌日、祖父は眠るように…………お隠れになられた」
体の中が冷たいもので埋められていくのを感じる。
重力が増加したかのように体が重くなる。
あのときのことは、少なからず俺の精神に影響を与えているようだ。
「……へ? オカクレになった?」
その言葉の意味が一瞬思い出せなかったのだろう二木が、首を傾げている。
「…………亡くなった。死んだってことだ。死因は老衰」
御歳八十七歳。普通に考えればいつお迎えが来ても不思議では無かった。しかし前日にあれだけ暴れたというのにいきなり、なんて、祖父らしいといえば祖父らしい。あの人は、別れの言葉なんて絶対に言わないような人だったから。
「! ご、ごめん。知らないで、はしゃいだりして……」
二木は目に見えて落ち込み、視線は地面で固定された。
この少年は、人を怒らせる、悲しませるといったことに凄く敏感に反応する。
恐らく、過去に人間関係で何かがあったんだとは思うが、深くは知らないし、聞こうとは思わない。
「……いや、知らなかったのだし仕方ない。……それに折角、自由な時間が出来たんだ。祖父だって、いつまでも落ち込んだ俺なんて見たくはないだろう」
俺がそう言うと、二木は恐る恐るといったふうに顔を上げ、話すうちに次第にいつもの二木に戻っていった。
それから俺は、今まで遊べなかった分を取り戻すかの如く積極的に、《SAO》をプレイするために二木から色々なことを聞き、来るべき日に向けて準備をすることになった。
――そし
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