SAO編
序章 はじまりの街にて
1.運命の日
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となのかは解らないが、茅場晶彦の口調が、この周囲を包んでいる雰囲気が、その言葉の信憑性を強めているように感じた。
『より具体的には、十分間の外部電源切断、二時間のネットワーク切断、ナーヴギア本体のロック解除または分解または破壊の試み――以上のいずれかの条件によって脳破壊シークエンスが実行される。この条件は、すでに外部世界では当局およびマスコミを通して告知されている。ちなみに現時点で、プレイヤーの家族友人等が警告を無視してナーヴギアの強制除装を試みた例が少なからずあり、その結果』
茅場は続ける。
だが、その続きはいやでも想像できた。
『――残念ながら、すでに二百十三名のプレイヤーが、アインクラッド及び現実世界からも永久退場している』
実際に、すでに死んだ人間がいる。
その発言には、誰だって無視はできないだろう。この場にいる者なら尚更だ。何故なら、次は自分かもしれないのだから。
『諸君が、向こう側に置いてきた肉体の心配をする必要は無い。現在、あらゆるテレビ、ラジオ、ネットメディアはこの状況を、多数の死者が出ていることも含め、繰り返し報道している。諸君のナーヴギアが強引に除装される危険はすでに低くなっていると言ってよかろう。今後、諸君の現実の体は、ナーヴギアを装着したまま二時間の回線切断猶予時間のうちに病院その他の施設へと搬送され、厳重な介護体制のもとに置かれるはずだ。諸君には、安心して……ゲーム攻略に励んでほしい』
現実――外部世界と茅場を言っているが――の肉体は介護体制を呼びかけているという。しかし、それを無視して親族が無理矢理ナーヴギアを外してしまう可能性もなくはない。その場合は、ここにいる者は誰も何も出来ずに……ということだろう。
――俺の場合は……奴か。
同級生にして唯一、友人と言えるだろう男、二木 健太。
現実の俺は、二木の部屋のナーヴギアでSAOにログインしている。
もし茅場の言うことが真実だとして、二木が茅場の告知を知ってパニックを起こして俺のナーヴギアを外してしまえば、俺は死ぬということになる。
『しかし、充分に留意してもらいたい。諸君にとって、《ソードアート・オンライン》は、すでにただのゲームではない。もう一つの現実と言うべき存在だ。……今後、ゲームにおいて、あらゆる蘇生手段は機能しない。ヒットポイントがゼロになった瞬間、諸君らのアバターは永久に消滅し、同時に、諸君らの脳は、ナーヴギアによって破壊される』
茅場は続ける。
『諸君がこのゲームから解放される条件は、たった一つ。先に述べたとおり、アインクラッド最上部、第百層まで辿り着き、そこに待つ最終ボスを倒してゲームをクリアすればよい。その瞬間、生き残ったプレイヤー全員が安全に
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