After days
挿話集
妖精達の凡な日常A
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―アルン上空
「それで、あの2人はどこに行こうとしているんだい?」
「さぁ?」
「……この進路だと雑貨店が多いエリアね」
世界樹のある中央区画から少し離れたこの場所を好んで飛行するプレイヤーは少ない。時たま通るのはアルンを通過するだけのプレイヤーや雑多な地上を歩くのを面倒臭がる物臭だけだ。
ハンニャ、アルセ、ヴィレッタは各々の場所から合流すると、地上を歩くセインとシウネーを尾行し出した。
主犯のハンニャはともかく、両脇の少女2人は何故このような非マナー行為に手を染めているのか。
アルセの場合、セインがまだALO初心者の時に面倒を見たという過去がある。あるいみ弟(実際は歳上)のような存在にガールフレンドが出来たらそれは気になった。
一方ヴィレッタの場合、彼は彼女がPKとなってしばらくした後、初めて敗れた憎き怨敵……もとい、好敵手である。未だ勝敗は五分五分で互いの腹内まで読めるようになってきた最近では少しでも弱味を握っておきたいという不純な理由だ。
「あ、店に入るよ」
「あれは……確かギルドが出資したやつじゃ?」
「そだな。確かそれなりに高額な店だったはず」
3人は顔を見合わせると、無言で頷き合った。
『いらっしゃいませ』
ここはプレイヤー経営の店だが、それなりに広い店内各所にNPCが配置されている。
「す、凄いですね。確か店番のNPCを雇うのってかなり掛かりますよね?」
「ええ。実はここ、《オラトリオ・オーケストラ》がスポンサーをしている店なんです」
「え?とういうと……?」
「ここの店主は元SAOプレイヤーの方なのですが……生産職だったのに戻ってきた奇特な方なんです。腕は確かなんですけど……」
「へぇ……大きなギルドだと色んな事が出来るんですね」
他の大ギルドでも素材の売却や武具の生産が楽なように商人や鍛冶屋を抱えているギルドはある。オラトリオにもその手のプレイヤーは居て影で活躍している。
だが、他所と違う点は『望むのなら自分の店が出せる』という所だろう。ギルドから店を始めるための軍資金を貸し出され、商売を始める。
毎月売り上げの一部で借金を利子付きで返済していき、完済したならば後は自由。独立するも良し、そのままギルドの系列店として売り上げの数割を上納しながら所属するもよし。
この場合、後者が多いのは明白だ。仮にも有名大ギルドの傘下、何より魅力的なのは高級レア素材が安定的に低額で供給される事だ。
オラトリオ傘下で店を出すにはギルド内でそれなりの実績を出し、スキル熟練度のマージンをクリアしなければならないのだが、それもギルド内で修行できるという充実さ。噂を聞き付け
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