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久遠の神話
第八十三話 権力者その十

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「その時は」
『その時は再びです』
 躊躇なくだ、声は権藤に答えてきた。
『貴方達に戦ってもらうだけです』
「彼に蘇ってもらう為にか」
『そうです、その為にです』
 必ず、というのだ。
『貴方達には』
「私達のことは構わないのか」
『貴方達は罪を犯しました』 
 声は自分の言い分を返した。
『ですから』
「私達は何をしたのかも気になるな」 
 神話の頃の彼等がだ、権藤はこのことも問うたのだった。
「その罪は」
『数多くの人を殺してきました』
「それがかつての私達か」
『その罪によりです』
 彼等は戦っているというのだ、今も。
『魂の罪により』
「私達は戦っているのか」
『彼が目覚めれば』
 その時はというのだ。
『貴方達も解放されます』
「前世のことは知らないが」
 権藤はそうしたことには興味はなかった、彼は信仰はあるにしてもそれ程強くはない。神を前にしてもこのことは変わらない。
 だがそれでもだ、こう言うのだ。
「私はこの戦い自体には興味がない」
『だからなのですね』
「願いが適えばな」
 その時にだというのだ。
「降りさせてもらう」
『そうですか、それでは』
「止めるつもりか」
『そうさせてもらいます』
 声は権藤に強い声で告げた。
『私もそうしなければならないが故に』
「意見は一致しないな」
『そうですね、それでは』
「今からか」
『いえ、まだ怪物を用意していません』
「では後でか」
『後日、また来ますので』
 その時にだというのだ。
『その時に貴方に戦ってもらいます』
「話はわかった、ではな」
『戦いにより発散される力、それを集めてあの肩に注ぎ込み』
 そうしてだというのだ。
『あの方に起きてもらいますので』
「私達の戦い自体が糧か」
『そうです』
 まさにだ、その通りだというのだ。
『ですから是非共』
「因果なものだな」
 権藤は表情を変えない、そのまま淡々としての言葉だった。
「どうにもな」
『貴方達がでしょうか』
「いや、貴方がだ」
 他ならぬ声、セレネーこそがというのだ。
「貴方が因果なものだと言ったのだ」
『私がですか』
「そこまでして愛しい者と共にいたい、そしてそうしなければならないことがな」
『因果だというのですか』
「実にな」
『その様なことを言われたことははじめてです』
「怒ったか」
『いえ』
 怒りはない、そうだというのだ。
『驚いているのです』
「そうなのか」
『私に因果という言葉が当てはまるとは』
「誰でも当てはまる」
 因果、この言葉はというのだ。
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