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久遠の神話
第八十三話 権力者その二

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 権藤はその彫刻の様な顔で聡美にこう言った。
「まず断っておくが」
「はい」
「私は異性に求めるものは性的なものではない」
「その様ですね」
「私には妻がいる」
 先程執事と話していた彼女のことだった。
「そして息子もだ」
「だからですか」
「不倫には興味はない」
 今の口調は淡々としたものだった、実際にそこに何の興味も見せていない。
「浮気だのはな」
「ですか」
「妻がいて不倫をすればだ」
 それはというと。
「政治家として致命傷になる」
「スキャンダルですね」
「それもあってだ」
「浮気はされないのですね」
「全くな」
 そうしているというのだ。
「それは貴方でも同じだ」
「私もそうしたことには」
「不倫にはか」
「いえ、恋愛自体が」
 不倫もまた恋愛になる、それで言うのだ。
「縁がなくて」
「アルテミス女神はか」
「はい、恋愛に縁がないのです」
「それで不倫等にもだな」
「いい感情はありませんし縁がないのです」
 そうだとだ、聡美は潔癖症の者が不潔なものを語る様に不倫について話すのだった。
「ですから」
「なら話は早い、それでだが」
「これからお話することは」
「戦いのことだな」
 剣士のそれだとだ、その剣士である権藤が答えた。
「そのことか」
「貴方に戦いを降りて欲しいのですが」
 聡美は権藤に率直に話を出した、今の話の本題を。
「是非」
「私にもか」
「そうです、他の方と同じく」 
 今も率直に言う聡美だった。
「そうして頂きたいのです」
「生憎だがな」 
 聡美の話を受けてからだ、権藤はむべもなくといった感じで言葉を返した。
「そういう訳にはいかない」
「願いを適えられたいが故にですね」
「そうだ、必ずだ」
 そうしたいというのだ。
「私は日本の、我が国の首相になるのだ」
「そしてこの日本をですね」
「今より遥かにいい国にしたい」
 そう考えているが故にだというのだ。
「太平洋の中で確固たる地位のあるな」
「貴方の掲げられている政策のことは読ませて頂きました」
「どう思うか」
「素晴らしい政策だと思います」
 日本にとってだ、この場合の素晴らしいという言葉の対象は。
「実現可能であり」
「私は政治は現実のものだと考えている」
「だからですね」
「現実の政策を掲げる」
「実現出来る中で最善の政策をですね」
「それを掲げている」
「そうですね、そして貴方の資産と人望ならば」
 この二つ上城と樹里に話したことを権藤にそのまま話すのだった。
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