『"Cannibal Candy"』
#4
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…そういえば、あなたの自動人形、積んでる魔術回路は何なの?《魔剣》は十三機しかない特別な魔術回路……今残ってるのはシグムントのとあと一つだけよ。《魔活性不協和の法則》は知ってるでしょう?《イヴの心臓》以外の魔術回路は、お互いに効果を打ち消し合ってしまうから、一体の自動人形には一つの魔術回路しか積めない……」
「ああ、そうだな。……実際の所、俺の自動人形……《ラジエル》って言うんだが、そいつに積んである魔術回路は、行ってみれば魔術回路を《コピーする》魔術回路だよ」
ふぅん、とシャルは呟いて、直後顔を真っ赤にして叫んだ。
「って何であなたこのテーブルで食べてるのよ!」
「そうだな……君に惚れたから、なんて理由はどうだ?」
「……は?」
シャルが呆気にとられた表情で固まる。
「俺は君に惚れた。だから少しでもお近づきになるためにこうして一緒に食事をとっている……そんなところでどうだ?」
「ば、バッカじゃないの!?」
シャルが先刻よりもさらに頬を真っ赤に染めてガタリと立ち上がったその時。シャルの後ろで、隣のテーブルに座っていたライシンが立ち上がった。ライシンは呆然と窓の外の一点を見つめている。その拳がわなわなとふるえていた。
「……あいつは……」
シャルとクロスもつられて窓の外を見る。窓の向こう、複数体の乙女型自動人形を率いて歩いていたのは、仮面で顔を隠した男だった。年はクロス達より二歳か三歳ほど上か。銀色の仮面で素顔は見えない。スリットから見える目は赤色。《魔力焼け》と呼ばれる、膨大な魔力を有する者に発症する症状だ。
「ああ、マグナスよ。何?今度は彼を狙おうってわけ?やめた方がいいわよ。あなた程度じゃ、ひねりつぶされて終わり……ってちょっと!?」
シャルの語尾が狼狽したものになったのは、ライシンが夜々と共にガラス窓を割って外に飛び出していったからだ。
「やめなさい!彼には勝てない!!」
「おい!やめろライシン!!」
シャルとクロスの制止も聞かずに、ライシンはマグナスと呼ばれた男に向かっていく。そこでクロスは気が付いた。ライシンを冷たい目で見るその男が、ライシンその人とどことなく似ていることに。
「……まさか!?」
「何?」
「……アイツ、マグナスと言ったか……出身国はどこだ?」
クロスの問いに、シャルはかぶりを振る。
「分からないわ。マグナスは国籍不明。実力は未知数。学院序列は第一位。今《魔王》に最も近い男と言われている人よ。間違いなく、この学院で一番強い。もちろん、あなたよりも」
へぇ、と呟いてみるが、クロスは全く別のことを考えていた。
クロスはラジエルと《契約》をした際に、《天使》からい
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