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銀河英雄伝説〜美しい夢〜
第八話 ベーネミュンデ侯爵夫人(その2)
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されがちだが冷徹だし非情と言って良い。能力、冷徹さ、非情さ、そのどれが欠けてもあの奇跡は無かった。極めて危険な相手だよ」

なるほど、まぐれではないか。ただ単に味方を利用したなどという事ではない、だとすれば恐るべき存在なのかもしれない。それにしても良くそこまで相手を見ているものだ。俺がヤンならエーリッヒこそ恐ろしいと言うだろう。ヤン、ミューゼル大将、そしてエーリッヒ……。一体これからどうなるのか……。

「手強いな」
「うん。今は未だ階級が低い、だから自由に動く事が出来ずにいる、力を発揮できずにいるんだと思う」
つまり、これから先階級が上がれば、自由裁量権が大きくなれば手強くなる……。

「ミューゼル大将は必要か……」
「彼がいなければ帝国軍の被害はかなりのものになる、私はそう思っている」
毒を以って毒を制す、そんなところだな。エーリッヒは冴えない表情をしている。内憂外患、そんな言葉が脳裏に浮かんだ。

「となると先ずはどうやってコルプト子爵を抑えるかだな」
俺の問いかけにエーリッヒは嬉しそうに微笑んだ。
「私はブラウンシュバイク公爵家の当主だからね。せいぜいそれを利用させてもらうさ。私を嵌めた連中にも協力してもらう」
また碌でもないことを考えているな、こいつ。最近皆の玩具にされてて鬱憤が溜まっている、哀れなコルプト子爵をいたぶって楽しむつもりだ。

「アントン、楽しくなりそうだね。卿はこういうのが好きだろう」
「まあ、嫌いじゃない。俺だけじゃないぞ、アンスバッハ准将もシュトライト准将も好きさ」
「じゃあ、さっそく始めようか」

にっこりと笑うエーリッヒにほんの少し悪戯がしたくなった。
「公爵閣下の御心のままに」
途端にエーリッヒが憮然とするのが見えた。



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