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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第282話】
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 第三アリーナへと向かってる道中、ラウラはさっき俺がおでこにキスをしたのを思い出しては赤面し、一夏に不思議そうに眺められると表情が険しくなる所謂百面相状態に。

 ……とはいえ、俺も大胆な事をしたなとは思う。

 ――正直、ああする以外はどうすれば良かったかが分からなかった。

 何かを奢るという事を少し頭に過りはしたが、それだと物で釣ってご機嫌伺いみたいで俺は好きじゃない。

 ……まあ、だからといって俺がラウラのおでこにキスしたのがベストとは思わないが。

 そんな風に考えながら歩いていると、前から女の子が歩いてくる。

 ……あれは、更識簪さんだな。

 何か考え事をしてるのか、ぶつぶつと呟きながら歩いてくる――と、楯無さんの足が止まり、何事かと思うと――。


「簪ちゃん……」

「あ……。 ……ッ!?」


 楯無さんが、更識さんの下の名前、【簪】と口にする。

 それに気付いた更識さんは、一瞬目を見開き、何が起こったのか分からないといった表情になるが目尻を吊り上げ、荷物を抱えたまま走り去っていった……。


「……簪ちゃん……」


 今まで訊いたことがないぐらい、声色のトーンが落ちた楯無さん。

 一夏もラウラも、今走り去った子は誰だか分からず、疑問符を浮かべる。


「……楯無さん、大丈夫ですか?」

「……うん。 ごめんなさい。 ……じゃあ、行きましょうか」


 そう言って無理矢理笑顔を作る楯無さんだが、心の奥底に無理矢理悲しい気持ちを押し込めた様に見える。

 ……やっぱり、彼女と楯無さんは血縁関係にあるのだろう……。

 ……こういう問題は、俺から聞くのは野暮すぎる。

 ……いつか、楯無さんからの口から語られるのを、今はただ待つだけにしよう。


「ヒルト、どうした? ……二人は先に行ってるぞ? 私達も追わないと」

「そうだな。 ……悪い、行こうか?」


 更識簪が走り去っていった道を少し見、それから駆け足で二人の元へと向かい、第三アリーナへと入っていった――。


――第三アリーナ中央――


 第三アリーナへと入り、いつも試合や模擬戦、訓練など行っている中央部へと向かう。

 今日も今日とて、一般生徒が打鉄を身に纏い、訓練に明け暮れていた。

 そんな中、念入りに柔軟をしている女の子のグループが――。


「あれ? ヒルト?」

「ひ、ヒルトさん? 今日はラウラさんと美冬さんとで第四アリーナで特訓だと思っていたのですが……」

「ん……しょ。 ――何か事情があるんじゃないの? ほら……」


 シャル、セシリア、鈴音の三人は俺達に気付いたのか、柔軟を止めて近付いてきた。

 
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