第三十話 東の聖地へ
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企もうとヴェイン殿の失脚などありえん。参謀本部を始め軍部はヴェイン殿支持だからな。あのお方こそ帝国の敵を討ち滅ぼす剣だ」
歩いているジャッジマスターが隣を歩いているジャッジマスターに話しかけるが彼は無視して歩き続ける。
すると後ろの方から声が聞こえてきた。
「卿は2年前のゼクトに似ているな」
その言葉を聞き2人のジャッジマスターは声が聞こえたほうに振り返る。
そこには唯一の女性ジャッジマスター・ドレイスがいた。
「ヴェイン殿を信じて従った彼がどうなった? ナブディスで消息不明ではないか」
「ジャッジ・ゼクトへの愚弄は許さん」
2年前のゼクトに似ているとドレイスに言われたジャッジマスター・ベルガは反論する。
自分が馬鹿にされるならばまだ我慢できるがジャッジの模範と言われたゼクトへの愚弄は黙って見ていることはできない。
「彼はまことの武人だった。その彼が信じたヴェイン殿を疑うというのか」
「かつて実の兄君らを斬った男だ。人とは思えん。非情に過ぎる」
「非情だと?大いにけっこう! たとえ肉親であろうと反逆者は容赦なく討つ。帝国の背負う者のあるべき姿ではないか」
そう言ってベルガは奥の方に歩いていった。
「おめでたい男だ」
ドレイスは俯きながらそう呟いた。
そして残っているジャッジマスターに話しかける。
「ザルガバース・・・まさか卿も信じているのか?あのおふたりが反逆など!」
「それがグラミス陛下の結論だ。口を慎めドレイス。あの事件はとうに終わった」
「ご一同召集令です」
反対方向から歩いてきたガブラスがそう言った。
【事故死】したギースを除けば対ロザリア最前線にいるジャッジマスターがここに集ったことになる。
「ヴェイン殿がご到着なさいました」
「承った」
ベルガはそう言い、ザルガバースと共に奥へ進んでいった。
ドレイスはガブラスに話しかける。
「ラーサー様はブルオミシェイスへ向かわれた。大僧正に働きかけて反乱軍の動きを封じるおつもりだ。オンドールが諦めるとは思えんが・・・反乱軍の行動が多少なりとも鈍ればよい。これでロザリアの侵攻も遅れ・・・わが国が備えを固める時間を貸せげる」
「グラミス陛下の狙い通りか」
ジャッジは帝国の法と秩序の番人であるがソリドール家の親衛隊という面も持ち合わせている。
必然的にジャッジが支持するのはソリドール家の者が多くなるが誰を支持するかは様々である。
例えばベルガはヴェイン派であるがガブラス・ドレイスはグラミス派である。
そしてロザリアの侵攻が予想されている今は穏健派のグラミスを支持する者の肩身が狭い。
「ともあれ頼もしい成長ぶりではないか。元老院の能無しが驚く顔が目に浮かぶ。あの老人ども・・・幼い皇帝を影から
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