第二十九・五話 夜の里にて
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
ケルオン大陸バンクール地方ガリフの地ジャハラにて。
宴も終わり夜の帳があたりを支配しているとき、アーシェはラーサーとの会話のことを思い出していた。
確かにラーサーの言うとおりこのままの状況が続けば解放軍とアルケイディア軍が戦端を開く。
そしてロザリア帝国は解放軍への協力を大義名分にアルケイディア帝国に宣戦布告する。
そうなれば主戦場となるのは二大帝国の狭間に位置するダルマスカだ。
更に帝国は2個も破魔石を持っている。
【夜光の砕片】2年前に使われているが【黄昏の破片】がまだある。
となればダルマスカが第2のナブディスになるのは避けられない。
だから私がダルマスカ王国の復活を宣言し、帝国との友好を訴え、解放軍を思いとどまらせる。
そうすればダルマスカは戦禍から逃れる事ができる。
そう、頭ではわかっている。だが・・・
死んでいった者達に誓った復讐を成し遂げることは出来ない。
この前ラバナスタで復讐を改めて誓ったばかりだというのに・・・
そんな事を思いながらアーシェは里を歩いていた。
すると目の前に最愛の夫の姿が見えた。
「ラスラ・・・」
アーシェはラスラの幻影の方に走る。
すると
「あの人が見えたのか?王墓の時みたいに」
ヴァンに声をかけられた。
アーシェは少し驚いた。
「やはり、あなたにも・・・でも、どうして」
「変だよな。オレ、アーシェの顔だって知らなかったぐらいで・・・王子のことなんてなにもわからいのにさ」
ヴァンは橋から水面を見ながら自分の考えを言う。
「もしかしたらオレが見たのは兄さんだったのかもしれない」
「バッシュから聞いたわ」
「降伏間際に志願したんだ。馬鹿だよ。負けるってわかってたのに」
「守ろうとしたのよ」
「死んで何が守られたっていうんだ。お前は納得できたのかよ。王子が死んだ時」
ヴァンの言葉にアーシェは思わず顔を背けた。
その様子を見てヴァンはまた喋りだす。
「帝国が憎いとか、復讐してやるとか・・・怨みばっかりふくらんで。・・・けどその先は全然。どうせなんにもできやしないって気がついて空しくなって。その度に兄さんのことを思い出して・・・。オレそういうの忘れたくてとりあえず【空賊になりたい】とか・・・景気のいいこと言ってたんだろうな」
ヴァンはそう言うと少し間をおいて
「兄さんの死から・・・逃げたかったんだ。アーシェについてここまで来たのもきっと逃げたいからなんだ」
ヴァンは幼い頃に両親を流行り病で亡くした。
だから兄のレックスはヴァンにとって親のような存在でもあった。
レックスが軍に志願したときヴァンは必死にレックスを止めた。
でも国のためだと言われ渋々認めてしまった。
それでダルマスカを守れたなら、いや国のために戦
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ