暁 〜小説投稿サイト〜
戦争を知る世代
第四話 別れと出会い
[1/2]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
第四話 別れと出会い


火の国歴55年6月12日 早朝 稲荷神社 お堂  
赤い服とその上に薄い茶色のベストを着た人



(まだ、人がいたのか。)
正直うんざりした気持ちを持ちながら、押さえつけている人を見る。
(しかも、子供。)

「はぁ・・」
思わずため息が出る。

自分が今回受けた任務は、“木の葉の稲荷神社にいる人間の皆殺し”だ。
聞いていた話では、ここにいる人間は二人。
「話が違う・・」

(あ、また声に出てしまった。)

自分の下にいる子供を見る。
子供は怯えたような目でこちらを見ている。
正確には、目の前にある鏡越しに、だが。

子供を殺したことは何度もある。
しかし、それは自分に武器を向けてくる子供―所謂、少年兵だ。
無抵抗の子供を殺したことはない。
一気に気持ちが下がるのが自分で分かる。

そもそも、今回の任務はどんなものだったか?

んー、思い出した。
稲荷神社にいる人間は、特殊なチャクラを扱うというものだったはず。
そういう一族の生き残りだとかーだったかな。
ということは、この子供もそうなのだろう。

でも、と少し考え込む。
ではなぜ、任務内容ではいるという人間が二人だったのか。
この一族が脅威であるというなら、もっと詳細に調べているはず。
子供一人を確認し損ねるなんてことあり得るだろうか。
・・・・今考えても答えを見いだせない。
ただ、何かおかしなことに巻き込まれているようで、変に落ち着かない気持ちになった。


「ねぇ?」
震えていて、少し擦れている声が聞こえた・・・



同日 稲荷神社 お堂  イナリ

僕の上に乗っている人は、僕を押さえつけてから何か考えているようで動かない。

この人の服装は、明らかに木の葉の人に見えない。

どうしてこうなっているのか?
この人は誰なのか?
お母様、お父様はどうして起きないのか?

色々なことが頭の中をぐるぐると廻っている。


勇気を振り絞って、僕の上で何か考え込んでいる人に声を掛ける。

「ねぇ?」
声が震える。
少し擦れているのが自分でも分かる。

「・・・なんだ?」
少し迷うような素振りを見せてから、答えてくれた。

「お母様、お父様はどうしたの?呼んでも起きないの。」

上に乗っている人は、ぎくっとしたように顔を顰める。

「・・・・・」
沈黙がお堂を包む。

答えてくれないのでもう一度聞こうと声を出そうとした瞬間・・


「死んでいる・・・」

上に乗っている人は答えた。



僕は・・・
この人の言っていることが分からなかった。


「え?」
(この人は何をいっているの?)


「死んで
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ