第三話 宿命の日
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い枝がごうごうと燃えていて、もうもうと黒い煙をこれでもかと吐いている。倉庫はもう燃えてしまったのか崩れて形がない。右にあるお堂は、屋根が燃えている。
「なに、これ。」
「どうして燃えているの?」
僕の心は不安で不安で、怖くて怖くてしょうがなかった。
―ぎゅぎゅぎゅっと心が押しつぶされていく
「お母様?お父様?どこにいるの?」
不安で、怖くて、助けてほしくて、ぎゅっと抱きしめてほしくて、
僕の大切な人、いつも笑顔を向けてくれた人、困ったときに助けてくれた人を探した。
「どこ?どこにいるの?」
きっと、寝床にいないならリビングにいるはず。
そこにいると信じて、リビングに通じる襖を開ける。
しかし、
そこには、真っ暗な空間が広がるだけだった。
「お母様!お父様!」
いると思っていたのにいない。
不安と恐怖がどんどん大きくなっていく。
どこ?どこにいるの?
あの二人が自分をこんなに怖いところに置いて、ほっとくわけがない。
どこ?
どこにいるの?
助けて。
怖いよぅ。
(どこだろう、あと見ていないのはお堂・・・。)
とても不安で、怖いけど、二人を探してまた、歩き出す。
ふるふる震える身体を自分自身の腕で抱きしめながら、お堂へと続く廊下を進む。
しかし、お堂は屋根が燃えている。崩れそうな感じではないものの、時間が経てば持たないかもしれない。
本当にいるだろうか?でも、見ていないのはここしかない。
疑問を感じながらも勇気を振り絞って、お堂の入口に立つ。
ギギギと音を立てながら扉を開ける。
中は少し暗い。
しかし、屋根が燃えているからか、見えないほどではない。
そこで眼に入ってきたのは・・・
探していた二人がお稲荷様の像の前で寝ている姿だった。
「あっ!お母様!お父様!」
やっと見つけた。
心からほっとした。
先ほどまでの不安や恐怖が嘘のように消えていく。
(こんな時に二人してお堂で寝ているなんて、おかしなお母様とお父様。)
そう思いながらも二人に駆け寄る。
ぴちゃ
「え?」
何か濡れているものを踏んだ。
こんなとこに何だろうと、足元を見る。
足元で赤黒い液体が小さな池を作っている。
「なにこれ?。」
屈んで近づいてみると、
ぷーんと何やら生臭い匂いがする。
よく見ると、それは寝ている二人から流れてきているに見える。
「お母様? お父様?」
急に不安になり二人に声を掛ける。
「・・・・・」
二人に反応はない。
「お母様! お父様!」
今度は先ほどより大きな声で呼ぶ。
「・・・・・」
それでも反応はない。
おかしい、おかしい、
心がぎゅっ
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