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アセイミナイフ -びっくり!転生したら私の奥義は乗用車!?-
第17話「僧侶と節操なしと次の街へ」
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禿頭を撫でながら、ずしんずしんと大きな足音を立てて、シドと呼ばれた男は

イダたちの方へ向かって歩いてきた。

その歩みには、先ほどイダが感じたさびしさは微塵も感じられない

すぐに彼女たちの元へたどり着くと、その巨大な手でグウェンの革手袋に覆われた

小さな手を握る…というよりは、腕全体を握るような風情で彼女に触れる。

「グウェンではないですか。本当に久しぶりです。遣いの森にもどったのでは

なかったのですか?」

ブタのヒヅメのような爪を持つゴツゴツしたその手が、グウェンの両の腕を包み込むと

グウェンもまた彼と同じように歯をむき出しにして笑った。

その笑顔は、なんでもない会話をしている時にイダやジェイガンに向ける笑顔と同じで、

イダにはすぐに親しい間柄であることを理解する。

その笑顔で向きあった二人。グウェンは握手と呼んでいいかわからない行為をしながら、

グウェンは禿頭の僧侶の疑問に正しい答えを返していた。

「にゃー、まあなんといーますかにゃ。この子の護衛みたいなもんにゃ」

「…またですか。その性癖で何度死にかけたか、忘れましたか?

一度は父親に殺されそうになり、次はその子が心を病んでいて…」

グウェンの言葉に、一瞬にして呆れたような顔になったシドはそう言って彼女を窘める。

その様子は、昼に会ったドライベールにも似ていて、イダは少しおかしく思った。

窘めにグウェンは三毛猫と同じ模様の可愛らしい毛が生えた耳を抑え、

「にゃーにゃー聞きたくにゃーい聞きたくにゃあぁァァいw」

と笑っている。本当に気のおけない間柄なのだろう、とイダは思う。

「…どちら様?」

「昔の腐れえーん」

ストランディンの問にグウェンは簡単に言って、クルクルと楽しそうに回転する。

その様子に呆れたストランディンはハア、と溜息をついて

「それじゃわからないって。はぐらかさないでよね」

と言って、グウェンの体の回転を肩をつかむことで止めたのだった。

「全くグウェンは変わりませんな。私は3年ほど前に
彼女と共に旅をしていたシドと申す僧侶です。どうかお見知りおきを」

シドはペコリと頭を下げて、手に持っている鉄の棍棒を包みにしまい始める。

そんなオークの僧侶を見て、イダはグウェンとの関係をもっと聞きたいと思って

何か質問をしようとしたのだが…

「…あの、グウェン、一体何をしたんですか?性癖とか言ってましたけど…」

口をついてでた言葉はこんな言葉だ。

―――しまった―――ッ!

是非とも聞いて置かなければならない話ではあるのだが、ここで聞くべきでないとも

思っていた言葉がつい口から鉛玉のように飛び出て
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