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アセイミナイフ -びっくり!転生したら私の奥義は乗用車!?-
第17話「僧侶と節操なしと次の街へ」
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「よろしくお頼みします、お嬢さん」

シドはフェーブルと握手して、そしてズシン、と音を立てて椅子に座る。

オーク用にしつらえてある大きな椅子が、まるで子供用椅子に見えるほどの巨体だ。

「にゃあ、安心していいにゃ〜♪」

地響きのような音に少し怯えたフェーブルに近づいて、グウェンはそう笑った…が。

「…!」

今度はストランディンが不安げにフェーブルを自分の後ろに隠す。それも無言で。

「…なんにゃ?」

「―――フェーブルは勘弁してあげて。惚れっぽい人なんでしょ、貴女?」

あの後シドから聞いた諸々のグウェン情報には、二股した挙句、片方が病んでいて

二股相手ともども殺されそうになったことを始め、彼女が無駄に惚れっぽいことが

はっきりと示されていた。同時に、彼女が少女を落とす手口についても。

イダは心底呆れていたし、ストランディンは汚物でも見るような目で

彼女を見ていたことも付記しておく。

「…カワイイ物好きには、アンタは危険すぎる!だから!」

「残念。体型が対象外にゃ」

「なら安心…って、それは更にマズくない!?」

すごい剣幕でグウェンを睨むストランディンにグウェンはそう答える。

―――呆れるほかないでしょ、これ…

イダはため息を付いて、天井を仰いだ。

「まあまあ、私がいるからには二度とそんなことはさせませんよ。ねえ、リック殿」

ニコニコとシドが笑いかけ、リックも笑いながらイダとストランディンに言う。

「なあに。いざとなりゃあ、グラスランナーの爺さんに言いつけちまうさ」

その言葉に薬品が反応したかのように叫んだのは、勿論グウェンだ。

「にゃあああ!?それだけは勘弁!それだけはかんべんしてほしいにゃ!!

わちき、わちき死んでしまうにゃああああ!?」

半べそになって叫ぶグウェンに、リックは脅しをかけるように

「なあに…女の子に手を出さなきゃいいだけだ…簡単だろ…」と

暗い笑みを浮かべながら、彼女の肩を抱く。その言葉は覿面に効いたようで、

グウェンは耳をヘタらせて「わ、わかりましたにゃあ…」と力なくつぶやくのだった。

「―――まあ、それはそれとして、私の能力は秘密にしておいてください、シドさん」

イダはシドを見上げながら不安げに言うと、シドは真剣な表情を見せ、

「我が神「黒く超越する空色」にかけて秘匿しましょう。それは神の力だ」

と周囲に聞こえないようにイダに言った。

「…はい。ありがとうございます。それじゃあ…」

「ええ、赴きましょう。お嬢さんたちのご実家を救うために、ウヴァの街へ…」

ぱっと花開くように笑ったイダに、シドもまた柔和な笑みを浮かべてそう言っ
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