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アセイミナイフ -びっくり!転生したら私の奥義は乗用車!?-
第17話「僧侶と節操なしと次の街へ」
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の話を伝えたイダに、リックはあっさりと許可を出した。

「って、いいの…?真面目に?」

イダの不安はもっともなことだったが、リックは事も無げに続ける。

「あのグウェンが信頼して3年も一緒に旅を続けてたんだろ?

多分大丈夫だ。俺の人を見る目は確かだ」

―――おいおい、自分で言うか?

イダは歯を磨きながらそう言う父に心の中でツッコミを入れた。

「じゃあ、袋とバックのことが知られてもいいって…?」

「そりゃあ、実際に会ってみないとわからん。どのみち隠しきれることじゃないって、

昨夜の事件の話を聞いて確信したよ。どっちにしろ勘ぐられるさ」

ならば、端からバレてもいいと思って行動したほうがいいだろう、とリックは言った。

「隠し切りたいのはやまやまだけどな。隠し切れないなら、文句言えないほど実力を

つけるしかない。いや、俺がつけさせてやるから安心しろ。その坊主がオークだってなら

更に好都合だ。でかい相手との戦闘訓練もできるだろ」

方針をあっさり転換した父親を見て、朝令暮改はどうかな、と思いつつも、

イダは妥当性を感じている。どっちにしろ、今の彼女はこの力に頼らなければ、

戦闘すらできないのだから。

「…わかった。シドさんに伝えてくるから」

諦めの粒子が混じえてイダはそう言った。仕方ないものは仕方ないのだろうし、と。

確かにどこか乾いた死生観を持ち、あまり他人を信用しない桃色のグラスランナーが

あそこまで気を置いていない人物なのだ。十分信頼は出来るだろう。

それに、あの笑顔に見た…つくしだった頃に懇意にしていた住職の面影に、

イダも信頼するべきだ、と心のどこかで思っていたのだ。

「びっくりさせるといけないから、袋の話は最初にしておくからね。

良い人だし、あんまり驚かせたくないの」

リックはそれに「見咎められないようにしろよ」とだけ言って、口に水を含んで

歯磨き用の塩が混じった唾液を吐き出した。

「―――そういえば、歯磨きも普及してるのよね」

その疑問混じりの言葉はリックには届かず、未だに眠ったままのストランディンや

フェーブルを置いて、早朝の酒場へと降りていく。

そこには、まだ酒を飲んでいる二人がいるだろう。或いは酔い潰れてるかもしれないが。



―――2時間後。朝、宿の酒場…

「…」

フェーブルは不安げに、その巨大なオークを見つめていた。

何か話そうとしたが、音繰りの魔法の後遺症でしゃべることができないことを思い出し、

身振り手振りで「この人は誰だ」とストランディンに伝える。

「グウェンさんの知り合いのオーク神官さん、だって。名前はシドさん」

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