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八条学園怪異譚
第五十五話 百鬼夜行その五
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「そういうことでね」
「はい、そういうことで」
「またの機会に」
「とにかくね、百鬼夜行はね」
 話はそのことに戻った。
「面白いから」
「妖怪さんや幽霊さん達のパレードですね」
「それですね」
「そう、あとそれが駄目だったら」
 そこで泉に辿り着けないとだというのだ。
「次は鼠さんね」
「えっ、鼠ですか」
「そっちは」
 二人はここでも店の娘として言う。
「ううん、そうですか」
「ハムスターじゃなくて」
「いや、鼠といってもあんた達が考える鼠じゃないから」
 このことはしっかりと話す茉莉也だった。
「あれでしょ、お店の中に湧く鼠でしょ」
「ゴキブリと一緒で」
「食べものを漁るわ汚いわの」
「そういうのじゃないんですね」
「そっちの鼠じゃないんですね」
「マウスとかハムスターとかモルモットとか」
 こうした動物を挙げる茉莉也だった、鼠であるが。
「兎もそうだけれど動物園の小動物コーナーのね」
「そっちの鼠さん達ですか」
「衛生的で可愛い」
「そう、猫型ロボットの耳をかじった様なのじゃないから」
 かじられてそうして黄色かった身体が青ざめて青くなってしまったのだ。そこから碧ダヌキと呼ばれる様になった、猫ではなく。
「ドブ鼠とかじゃないからね」
「だといいです」
「ほっとしました」
「まあ鼠っていっても色々でね」
 ここで茉莉也が挙げる鼠はというと。
「ヌートリアみたいなのもいるから」
「あの巨大な鼠ですよね」
「アマゾンにいる」
「そう、あれもいるから」
 八条学園内の動物園にだ。
「アマゾンだからね」
「アマゾンだからですか」
「それが理由なんですね」
「アマゾンはどんな生きものだっているでしょ」
「確かに。色々いますからね」
「凄い生きものが」
 このことは二人も知っている、アマゾンにはそれこそ他の世界には絶対にいない様な生きもの達がこれでもかといるのだ。
「だから一メートルも超える鼠もですよね」
「いるんですね」
「昔は巨大なアルマジロとかナマケモノもいたでしょ」
 それぞれ何メートルにも達していた。
「ほんの四世紀位前まで」
「ほんの、ですか?」
「四百年前でほんの、ですか」
「生物学だとそうでしょ」
 この観点から言うと四世紀位前でもだというのだ。
「それ位はね」
「学問の分野にとって年の大小も変わるってことですね」
「そうよ」
 それでだとだ、茉莉也は聖花に答えた。
「だからね」
「そういうことですね」
「それでアマゾンに話を戻すとね」
 再びアマゾンの話になる、そこはというと。
「ドクガエルにサンゴヘビ、アナコンダにピラニアにピラルクにね」
「本当に凄い生きものが一杯ですよね」
「無茶苦茶なところですね、つくづく」

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