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アセイミナイフ -びっくり!転生したら私の奥義は乗用車!?-
第16話「私とチンピラとオークの僧侶」
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言ってナイフを取り出して構えた。

同時に、もう一人の方も腰に挿したロングソードを抜き放った。

「…しかも殺生までしようというのですか。なんと罪深い」

振り向いたその顔は本当に巨大な豚、といった風情だ。

口元に生やしたカイゼル髭がなければ、本当に唯の豚にしか見えない。

典型的な純血オーク男性であった。豚のような顔とカイゼル髭。

そして頭頂にちょこんと生えた毛が彼らの特徴である。

その証拠に、剃った頭は青光りをしてそこに毛根があることを示していた。

チンピラの激昂にも慌てず騒がず、オークの僧侶は訥々と彼らを諭してく。

「いいですか?殺生は食べるために以外には本当はしていけないのです。

それも最低限にするべきだ。そうでなければ必ず苦しむものが出てくるのです」

オークの僧侶はそこまで言うと、「引き下がりなさい。子供を怖がらせるものじゃない」と

真顔で言った。だいぶ酒が入っているのだろう。その顔は真っ赤だ。

「っるっせなあ!!殺ンぞコラア!?」

ナイフを腰溜めに構えて、オークの僧侶へ突進の構えを見せたチンピラAに

途端に周囲がざわめきだした。最早止めなければ本当に刃傷沙汰になりかねない。

脅すための刃ではなく、殺すための刃だと、皆が感じていた。

そのため周りの冒険者達もスット立ち上がろうとしているものも見られ、

いつの間にかイダの隣にいたグウェンも「イダ。後ろっから刺し殺すけど、いいよにぇ?」

と聞いてくる。

「グウェン…それはやめて。叩きのめすくらいで…」

イダがそこまで言ったと同時に、オークの僧侶は彼らの言葉を反芻した結果が

それだったか、足元の包を開く。中から出てきたのは、凶悪な棘が無数についた

鉄か…あるいは別のものか。間違いなく金属の棒だった。

「これ以上狼藉を働くというのならば、これを使わせて頂きますがいいですか?」

オークの僧侶は悲しげな口調でそう警告すると、その棒をブン、と室内の調度に

激突しないように一振りした。一振りしたその棒は風を起こしてチンピラどもを圧倒する。

「…どうします。生き恥をさらすこと、ここで神の身許に召されること…

どちらかを選んで頂きます」

冷たく言い放ち、そして息を整える。

赤ら顔の彼はまるで赤鬼のような形相で、チンピラどもを睨めつけていた。

イダはその姿に、豚と言うよりも悪鬼のようなものを垣間みた、

その形相に恐れをなしたチンピラは、「くそっ!覚えてやがれ!!」とテンプレセリフを

放って、勘定を済ませるとすごすごと店を出ていった。

「―――ふう、危なかった。どうです、お嬢さんたち。怪我はありませんか?」

チンピラを一瞬憐
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