第五十五話 百鬼夜行その二
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「あの人魔術の知識もあるから」
「博士はですね」
「そうしたことも出来るんですね」
「確か魔界とか地獄にも行かれたことがある筈よ」
そうした経験をしてきたこともあるというのだ。
「仏教の地獄だけじゃなくてキリスト教の地獄もね」
「地獄っていっても一つじゃないんですね」
「宗教によって違うんですね」
「そうよ、キリスト教の方はね」
こちらの地獄はどういった世界かというと。
「ダンテの神曲にある」
「何か八つあるですか?」
「それで歴史上の有名人が大勢苦しめられている」
「そうよ、博士が言われるにはそうした場所みたいよ」
キリスト教の世界はダンテの神曲そのままだというのだ、神曲は地獄、煉獄、天国の三つから成るが地獄篇が最もインパクトがあるであろうか。
「確か聖闘士星矢のね」
「あの漫画面白いですよね」
「シリーズにもなってて」
「そうでしょ、私全巻持ってるから」
見れば今三人がいる茉莉也の部屋の本棚にはシリーズが全巻ある、原作者以外の漫画家が描いたものまでだ。
そのシリーズを見つつだ、茉莉也は二人に微笑んで言う。
「キリスト教については専門家じゃないけれど」
「漫画からですか」
「勉強されたんですか」
「漫画は偉大よ」
茉莉也はこうも言い切った。
「ここから色々なことを勉強出来るからね」
「漫画といえど馬鹿には出来ないですね」
「そこから得られる知識は多いですから」
「そうよ、漫画を馬鹿にする者は漫画に泣くのよ」
そうなるというのだ。
「地獄のことだって勉強出来るから」
「地獄ですね」
「悪いことをすれば行く世界ですね」
「私達も悪いことをすればですね」
「地獄に落ちるんですね」
「そうよ、そうなるわよ」
実際にそうなるとだ、茉莉也は二人にこのことも話した。
「私だってそうよ」
「悪いことをすれば地獄落ちですね」
「そうなりますね」
「神道は地獄はないけれど」
茉莉也の宗教では、というのだ。だが。
「けれど日本人は皆そうだと思うけれど神道と仏教が併存してるじゃない」
「ええと、神仏融合ですね」
「それですね」
「そうよ、私も神社の家の娘だけれど」
純粋な神道の娘だ、だがそれでもだというのだ。
「お寺にもよく出入りするし佛様にも手を合わせるから」
「先輩も仏教の世界に入っておられるんですね」
「巫女さんでも」
「そうよ、そもそも天皇陛下にしても出家されてる方多いでしょ」
言うならば神道の総本家と言うべき方々でもだというのだ。
「だからね」
「神社の方でもですね」
「仏教の世界に入っているんですね」
「神宮寺なんてのもあるし」
こうしたことも日本の特徴だ、神社の中に寺がある場合もあれば寺の中に神社がある場合もある。そのどちらもだ。
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