第八十二話 四人への準備その七
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「あの人のお言葉なら」
「私は智恵ではお姉様に劣ります」
このことは仕方がなかった、何しろ智子は智恵の女神アテナなのだ。ギリシアの神々の中でも随一の智力の持ち主なのだ。
それ故に聡美は智力では智子に劣る、その智子の言葉なのだ。
「あの方の見立てですから」
「権藤さんの政策はですか」
「首相にもなれる位のものですか」
「しかも。これは私の見たところですが」
今度は聡美の言葉だ。
「あの方の魅力はかなりのものです」
「カリスマですね」
「そうです」
それもあるというのだ、聡美は樹里に答えた。
「それも持っておられますので」
「そういえばあの人の周りは」
「自然に人が集まるところがありますね」
「見ていて陰がありますが」
それはある、だがだというのだ。
「格好いいですし、いつも堂々としておられて」
「そうした格好良さもまたです」
「カリスマなんですか」
「カリスマはそれぞれです」
それこそヒトラーの様な絶大な、その超人的なものに惹かせるものもあるがそうした格好良さを見せてのものもあるというのだ。
「あの人のカリスマはです」
「格好良さですか」
「そうです、人を惹きつけ引っ張るに相応しい」
即ち天性のリーダーシップ、それも入っているというのだ。
「そうしたものを持っておられますので」
「だからですか」
「あの人にはカリスマもあります」
それもだというのだ。
「能力とカリスマがあり、それに」
「まだあるんですか」
「あのお心は」
今度はそれだった、権藤の心は。
「非常に強く幾度の挫折にもめげません」
「ですか」
「そうです、資金もありますので」
政治には金がかかる、特に民主政治は。選挙資金やスタッフへの人件費といった様々なものに必要だからだ。この点権藤は企業の経営者でありかなりの資産がある。
「揃っています」
「政策、魅力、資金がですか」
「豊香さんが言っています」
資産についてはというのだ、富を司る女神である彼女が。
「その資産ならです」
「首相にもなれるんですか」
「さらに増えると」
首相になるだけでなく、というのだ。
「そう言っていますので」
「豊香さんは富の女神ですね」
「春も。ペルセポネーです」
豊穣の女神デメテルの娘だ、母の力を受け継いでいるのだ。
「ですから」
「富の女神の見ることでしたら」
資産、そのことならだ。
「間違いはないですね」
「尚私は人の魅力も見られます」
「それがアルテミス女神の力ですか」
「そうです」
そうした力だというのだ。
「私はお産の女神でもありますね」
「お産の女神だからなんですか」
「その人を最初に見てそれからも見ていきます」
ただお産を司るだけではないというのだ、そこから
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