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アセイミナイフ -びっくり!転生したら私の奥義は乗用車!?-
第15話「私、とりあえず宿屋」
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した情報に、
イダは思わず「え!?」と大きな声をあげてしまった。
「…なんですか?そんな素っ頓狂な…」
「や、やあなんでもない!」
慌てて赤くなって笑う彼女にストランディンが苦笑しながら付け加えた。
「放っておくと増えちゃうし、増えるのを止める方法がそんなに多くないから、
いつでも汚れたところは水で清めるのが常識になってるのよ。
それもその初代皇帝様が広めたってわけ」
―――驚きだった。掛け値なしに驚きだった。
石造りのこの街であまり悪臭がしないのは、それを知っているからなのか、と納得もする。
ヨーロッパで衛生観念というものが根付いたのは比較的近年のことだ。
衛生観念の無さは、ペストやコレラなどの死病を誘発する大きな原因だ。
特にペストでは一時人口の3分の1を失うほどの被害をもたらし、
それが社会不安となって魔女狩りやユダヤ、ロマなどの少数民族の迫害にも
繋がってしまったのである。
確かに、人と他の種族が特に偏見もなしに付き合っていられるという背景にも
納得がいくものがあった。
そしておそらく病の精霊というのは、細菌やウィルスそのもののことか、
それに取り付いているものなのだろう、この世界では。
…抜本的な対策はできずとも、水で清める、砂で洗うなどの対処が可能な分、
死病の発生は極力抑えられるはずであった。
その初代皇帝とは何者だったんだろう。当然の疑念が彼女の心に湧いていった。
…もしかすると、と思う気持ちもあったが、その想いは口にはしなかった。
「その方って…当然亡くなってますよねえ」
「それはそうですね。プロイスジェクの皇族は人間の血統ですから」
ドライベールの言葉に、あからさまに肩を落としたイダは、目の前のスープの最後の一匙を
口の中に入れて鈍く笑った。
「ありがとうございます。ドライベールさんって、ほんと物知りですね」
「いやいや。貴方のお父上も知っているはずの話ですよ。はっはっは」
いささか脂肪のつきすぎた腹を揺すって笑うドライベールに、リックが「しつこい」と
ばかりに娘とよく似たジト目を向けていたことは、グウェンしか知らなかった。
主菜にシャリアピンステーキが出てきて驚いたこと以外は、後は普通にこの世界では
豪勢な部類の食事だったといえる会食もそろそろ終わる。
最後に出てきたのはフローブという彼女も知らないハーブで作られたお茶だった。
…イダはこの時、自分の知っている事柄が不完全ながらもこの世界に存在することを
少しだけ訝しんでいたが、それはすぐに頭から消した。
想像できることはいくらでもあった。例えば、同意書には「患者ID
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