第八十二話 四人への準備その三
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「水を使う力も、剣技も」
「空を飛べる様にもなったから?」
「ええ、ちょっと前に比べてね」
さらに強くなったのではないかというのだ。
「そう思うけれどどうかしら」
「そういえばね、最近特にね」
自覚はあるとだ、上城も話す。
「そんな感じがするよ、僕にも」
「そうよね、やっぱり」
「うん、特に前の戦いでお空を飛べる様になったから」
特に言うのはこのことだった、このことは樹里から見てもそうであり上城も言われてみて実感することだった。
それでだ、樹里は上城にさらに言うのだった。
「違ってきたわ」
「力、だね。ただね」
「ただって?」
「僕の力が強くなってもね」
「それでもなの」
「それに溺れたら駄目だよね」
こう言うのだった、ここで。
「力に溺れたら」
「うん、若し力に溺れたら」
「よくある話だけれど」
「そこからね」
まさにだ、その時点でだというのだ。
「僕は駄目になるだろうね」
「よく策士策に溺れるとか言うじゃない」
「それは力でもだね」
「そう、一緒だと思うわ」
このことは真面目に、止める顔で言う樹里だった。
「剣士にしてもね」
「そうだね、それに剣士の戦いを離れたら力は」
その強くなっている力もだというのだ。
「何も関係のないものだし」
「あくまで剣士の戦いの中だけのことよね」
「小さいものかな、そう考えると」
「そうね、狭い世界の中だけのことだから」
剣士の戦い、その世界だけのことだからだというのだ。
「そこで強くなってもね」
「仕方ないよね」
「確かにね。加藤さんが強くなりたい理由は」
「あの人は戦いたいからだよ」
まさにそれが為である。
「だからね」
「それでよね」
「そう、戦いたいから強くなってね」
「ただひたすら戦いたいのね」
「あの人はそれだけだから」
「剣士の戦いで強くなりたいのじゃなくて」
「戦いたいんだ」
ただそれだけだというのだ、加藤は。
「剣士の戦い以外にもストリートファイトとか地下での戦いとかにも参加されてるみたいだよ」
「地下での戦いって本当にあるの」
「そう、あるんだ」
実在するというのだ、そうした世界も。
「あるからね」
「だから参加しておられるのね」
「とはいっても何処でやってるかとかは僕は知らないの」
「そうなの」
「裏の世界だから」
上城は表の世界だけで住んでいる人間だ、裏の世界については全く知らない。地下世界というのは裏世界に他ならない。
だからだ、そちらのことはというのだ。
「何処でやってるかとかはね」
「知らないのね、上城君も」
「うん、ただね」
「加藤さんがそうした戦いも楽しんでおられるのは確かなのね」
「ああいう人もいるんだね」
上城は樹里に話しなが
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