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久遠の神話
第八十二話 四人への準備その二

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「それでもね」
「彼氏がいないのね」
「商業科はね」
 本当に大変だというのだ、女子にとっては。
「そう聞いてるよ」
「普通科は男の子と女の子の割合はバランスが取れてるけれど」
「商業科とか工業科はね」
「工業科は男の子の方が多いわよね」
「だからこっちはね」
 工業科ではどうなるか、八条学園においても。
「女の子はすぐに彼氏が出来て」
「後は彼女なしになる運命なのね」
「そうなんだ、だから商業科と工業科で合コンとか結構してるみたいだよ」
「凄い話ね、どうにも」
「聞いた話だとね」
 確かに凄い話だとだ、上城も言う。
「あの娘達がどうか知らないけれど」
「そうなのね、それでだけれど」
「それでって?」
「うん、剣士の戦いのことだけれど」
 二人が食べているのはそれぞれの丼だけではない、見れば二人共焼きそばも頼んでいる。二つの大皿の中に塩焼きそばがある。
 その焼きそばも食べながらだ、樹里は上城に言うのだ。
「最近進展あるの?」
「あるよ、昨日中田さんに言われたけれど」
「あの人が戦いを?」
「抜けられるかもってね」
 そう言ったというのだ、上城に対して。
「笑顔でね」
「そうなの、じゃあ中田さんが降りることが出来たら」
「後は三人だね」
「加藤さんと権藤さんとあのロシアの」
「コズイレフさんね」
 この三人だった、中田以外にまだ戦うことを選んでいる剣士は。
「あの人達だよ」
「三人ね、じゃあ」
「あと少しかな」
「あと半分よ」
 樹里は目を輝かせて上城に言った、焼きそばをおかずにして他人丼を食べながらの言葉だ。
「だからあと少しよ」
「半分で少しかな」
「半分もいったのよ」
 こう言うのだ、明るい顔で。
「だったらね」
「あと半分もなんだ」
「すぐじゃない」
 樹里の表情は変わらない、明るいままだ。勿論目の光もだ。
「それだったらね」
「そういう考え方も出来るかな」
「上城君は違うの?」
「まだ半分とかいう考えにはならない?」
「時と場合によってはね」
 そうなるとだ、樹里も答える。
「なるわ、けれど今はね」
「違うのね」
「うん、凄い勢いで四人の剣士の人が戦いから降りたじゃない」
「だからあと四人もなんだ」
「すぐじゃない」
 またこう言う樹里だった。
「勢いがあるから」
「成程、あと半分とかまだ半分もその時によるんだ」
「今だとあと半分だけでしょ」
「これでいっていいかな」
「そう、一気にいけるんじゃないかしら」
 明るい顔のままで言う樹里だった、今も。
「それでいきましょう」
「それじゃあ」
「ええ、後ね」
「後って?」
「上城君最近どんどん強くなってきてない?」
 今度は彼の力についてだった、話すことは。
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