TURN127 アルプス要塞その七
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「そしてその全てを一つにすることは出来ない」
「総統でもですか」
「そのことは無理ですか」
「いや、私に不可能はない」
レーティアならば世界を一つにし治められる、その自信はある。
だが、だ。それはだというのだ。
「しかし私の後に治められ続ける者はいない」
「だからですか」
「それはですか」
「既に太平洋ではそれぞれの国に分れ一つの経済圏を構成している」
巨大なそれをだというのだ。
「そのことも見ているとだ」
「世界を一つにすることよりも」
「各国に分かれてですか」
「そのうえで経済圏を築くべきだ」
それがいいというのだ。
「私はそう考えている、だからだ」
「?うち等かいな」
「何か用か?」
ベルギーとオランダがここでレーティアの視線に気付いた、そのうえでの言葉だ。彼等ドクツが占領した国々は独立して連合諸国に入っていたがその立場は実質的にドクツの属国の様なものであったのだ。
その彼等にだ、レーティアはこう言ったのだ。
「全ての国が平等であった方がいい」
「ほなうち等は同じかいな」
「同じ立場か」
「そうだ、これからはな」
これがレーティアの今の考えだった。
「そうあるべきだ」
「信じられない」
ギリシアがぽつりと言った。
「属国じゃなくて同盟国か」
「これからはな」
「そしてそれぞれの国でやっていくのか」
「その通りだ」
「本当に信じられない」
ギリシアの言葉はいつも通りのんびりとしたものだがそれでも確かな声で話す。
「そんなことになるなんて」
「そうだろうな、これまでのことを考えるとな」
「俺は総統は嫌いじゃない」
また言うギリシアだった。
「だから総統の下で一緒にいてもよかった」
「そうだったのか」
「けれど独立出来るのなら」
それなら、というのだ。
「俺はそれでやっていきたい」
「欧州は一つの経済圏であるべきだ」
これからの欧州のこともだ、レーティアは語った。
「それが私が至った結論だ」
「欧州経済圏ですね」
今度はブルガリアが言って来た。
「そうですね」
「そうだ、この戦争の後でそれを築きだ」
そしてだというのだ。
「我々は生きるべきだ」
「そこには俺も入るんだよな」
「俺もやな」
「無論だ」
レーティアはフランスやスペインにも答えた。
「欧州、西欧も東欧も入れたな」
「全ての国がかよ」
「一つの経済圏に入るんかいな」
「エイリスもだ」
今も戦っているその国もだというのだ。
「欧州経済圏に入る」
「おいおい、でかいのぶちあげてるな」
フランスはそう聞いて思わず言った、エイリスと聞いて条件反射的に反発を覚えたがそれでも言ったのである。
「欧州全体かよ」
「その通りだ」
「俺達もだっぺな」
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