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アセイミナイフ -びっくり!転生したら私の奥義は乗用車!?-
第12話「私、保留にしてみる」
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しか思えません」
フェーブルは唇を噛み締め、地面に目を落とす。
その瞳は、病すらライクス公爵と呼ばれる貴族の仕業であろう、と言っていた。
「…いや。マナの病は自然発症しかしない。単に運が悪かったんだろう。
それで、俺達にどうして欲しいんだ?」
リックが彼女の間違いを冷静に指摘し、そうしてその瞳を姉妹に向けると、
ストランディンが簡潔に言った。
「…縁談をぶっ壊したい。勿論、それには父さんの回復が必要だけど。私やフェーブルは
父さんの補佐官みたいなことしてるから、父さんが元気になれば無理な縁談は断れる。
その後、お金さえ何とかなればいいの。お願い、その…財政再建、に協力して!」
ストランディンの言葉をイダも、リックも、グウェンも何回か心に飲み込んで反芻した。
そして、三人は顔を見合わせ、コクリと頷く。答えは三人とも決まっているようだ。
やがて三人は一斉に口を開いた。
「お断りします」と。ごく簡潔に。
ドガラシャアアッ!
ストランディンの拳が壁にめり込んだ。一部石壁を破壊して大きな音を建てたそれは
イダ達に向けてだったか、浅はかなおのれに対してだったか。
「どうしてそうなるのよっ!その袋のこと、秘密にするって言ったのに!!」
怒りを込めてストランディンが叫んだ。あまりに冷たい三人の言葉に、怒りを隠せない。
なぜ、どうして、その想いを視線と全身に込めて彼女はイダに向けていた。
しかし、イダも負けてはいない。その言葉と視線に負けないように、
丹田に力を込めて言葉を返す。
「それが本当か判断できないから。私たちはあなた達に会ったばかりで、あなた達が
男爵家の人、って証拠すらまだ見てないし。それに、さっきの魔法が本当だとしても…」
「…だとしても?」
イダの静かな言葉に、フェーブルもまた静かに返す。
沈黙が流れ、暫し後にイダが口を開いた。
「…少なくとも、私はいきなりあんな重いことする人を信用することはできない。
私達に逃げるという選択肢を与えない方法じゃないか、と思う。
何か思惑が…話せない思惑がある、ってことを白状してるようなものだと思ってしまう」
イダは正直にそう言って、後をリックたちに任せた。
「そういうことだ。こっちを信用するには時間が短い、やらせることもまだ曖昧だ。
そんな状態で、取り返しの付かない契約をするってことがどういうことかわかってるか?
娘の力を知って何をさせたいのか、財政再建ったあどうして欲しいのか
聞かせてもらえないままはいそうですか、という訳にはいかんぞ」
瞑目して言うリックの言葉を継いで、グウェンも口を開いた。
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