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えすえふ(仮)
第三話「幸運の星のために」
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「そういう話じゃねえからなこれ!」

アランシア・カスペーゼの件から、すでに数日が経っていた。
あれから事件らしい事件も起きておらず、俺−−結城冬二の
日常はほんの少しではあるが、落ち着きを取り戻していた。

「どうした冬二?急に叫びだすなんて」

「いや、なんかツッコミを入れなきゃいけない気がして・・・」

そうか、と春香は奇異なものを見る目で俺を見ながら、ごは
んを咀嚼していた。
結城春香は宇宙刑事らしい。地球に逃亡した宇宙犯罪者を捕まえ
るためにこの星にやってきたそうだ。本名は不明。春香というのは
この星で活動するためのコードネームのようなものであり、名字
が俺と同じなのも、俺の親戚設定のためだ。
現在は俺の家に居候中、そして、俺と夕飯を食べている真っ最中
だ。

「ところで春香はいつまでここにいるつもりなんだ?」

ふと気になっていた疑問を投げてみた。さすがに一生このまま
というわけではないだろう」

「地球に逃亡した宇宙犯罪者を捕まえ終えるまでだな」

「それって何人くらいだ?」

「わからん」

春香はズズッと味噌汁を啜った。
そうかわかんないのか・・・。

「ってわかんねえのかよっ!」

そんなんでいいのか宇宙刑事よ。春香の先輩もあんなんだったし。
宇宙の平和って・・・。不安になってくるな。

「とりあえず学校に潜んでいる宇宙犯罪者をあらかた捕まえるのが
当面の目標だろうな」

ごちそうさま、と春香は両手を合わせた。
良識はあるんだよな。
それにしても、宇宙犯罪者か。よく考えたら、そいつらって
俺から見たら宇宙人ということになるよな。(春香やアランシアもそうなるが)
そう思ったら少し好奇心が湧いてくるような。
確か、うちのクラスに明らかに怪しいやつがいたような・・・。
少し気になるな。
そんなことを思い出しながら、食事を終えた俺は
食器を台所に持って行った。

次の日。
チャイムが鳴るのと同時に授業という名の束縛から解放され、
昼休みというひと時の楽園が訪れる。本来はさっさと購買に行って
昼飯を買いに行くところなのだが、今日は先にやることがある。
例の明らかに怪しいクラスメイトについてだ。
そいつはドア側最後列の席に座っていた。
井原健司(いのはら けんじ)というのがそいつの名前だ。
名前だけなら、平凡な日本人ぽいのだが、問題は外見だ。
こいつの背中には身長と同じくらいの羽がついているのだ。
進級したときに同じクラスになったのだが、
最初は、あまりにもインパクトがあってクラス中の注目を集めていたが、
今では誰も気にしなくなっていた。
俺自身も知らないアニメのコスプレか何か程度にしか思っていなかった。
春香に出会うまでは
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