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アセイミナイフ -びっくり!転生したら私の奥義は乗用車!?-
第6話「私、戦う」
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グウェンがそうであるのもそうだ。
確かに一族の過去から与えられた役割ではあるが、俺達には明確な理由がある。」
そこで言葉を区切って、彼女の瞳を見つめる。
「ジェイガン、おみゃあ堅いにゃあ。そんなこと言わんでもいいにゃ」
グウェンの茶化すような言葉にも耳を貸さずに、彼は「うるさいな」と一言言って、
「少し考えてみてくれ。己の身を守る術だけなら、お前の力を使えばいいだけだ。
戦う力を得るということは、大きな意味を持つことだと俺は思っている。だから…」
「―――わかった。私が、自分の命を守るため以外に戦う術が欲しいのは、
みんなと一緒に、ずっといたいから。私は…ずっと、一緒に…」
イダの目尻に涙が光る。怯え、怒り、悲しみを感じる。それでもジェイガンは。
「…少し、考えさせてくれ。お前に戦う術を教えることが、本当にいいことなのか。
今の俺には判断できない。少し、少しだけ考えさせてくれ」
ジェイガンは申し訳なさそうに、彼女に頭を下げると踵を返す。
その背中はとてもつらそうに見えたが、今のイダの眼に入ることはなかった。
「あー。いっちゃったにゃあ。いいじゃん、弓とか剣とか教えるくらいならさあ。
ねえ、イダ。わちき、おみゃあは物覚えがええからすぐ覚えられると思うし、
べっつに、護身術程度ならなんでもいいと思うんだけどにゃあ」
グウェンは肩を落とす彼女の背中をポンポンと叩きながら、そう言って慰めた。
「ありがと、グウェン…」
その姿に、いつもの元気は見られない。彼女は自分でも驚いていた。
(―――拒否されるって、辛いんだね)
彼女は願い事をあまり抱かず生きてきた。だから、他者への期待も出来るだけせずに
自分でできることだけをやってきた。人に頼むのは、公式に頼んでいいとされていること…
例えば、仕事上でのお互いの助け合いなど、社会的に当然とされる場合のみだった。
「…やっぱり、欠けてる。私、すごく欠けてる」
ほう、と溜息をつき、目尻の涙を拭いイダは空を仰いだ。
「ジェイガンに賛成してもらえなかったのは残念だけど…グウェン、お願い。
私にナイフとスリングの使い方、教えて!」
グウェンの手をギュッと握り、すがるような目線でそう叫ぶように頼んだ。
その行為に、一瞬にへら、と笑って、そして表情を正すグウェン。
そして、一拍置いて言葉を繋ぐ。
「まあ、ジェイガンもちゃんとわかってるにゃ。一度言い出したらおみゃあさんが
諦めるやつじゃない、ってことくらい。その一度言い出したら、の回数が少なすぎて、
わちきは心配してたにゃあ。ちょっと、わちきは安心したにゃ」
…イダは気づいていただろうか、
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