暁 〜小説投稿サイト〜
アセイミナイフ -びっくり!転生したら私の奥義は乗用車!?-
第6話「私、戦う」
[4/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
グウェンがそうであるのもそうだ。

確かに一族の過去から与えられた役割ではあるが、俺達には明確な理由がある。」

そこで言葉を区切って、彼女の瞳を見つめる。

「ジェイガン、おみゃあ堅いにゃあ。そんなこと言わんでもいいにゃ」

グウェンの茶化すような言葉にも耳を貸さずに、彼は「うるさいな」と一言言って、

「少し考えてみてくれ。己の身を守る術だけなら、お前の力を使えばいいだけだ。

戦う力を得るということは、大きな意味を持つことだと俺は思っている。だから…」

「―――わかった。私が、自分の命を守るため以外に戦う術が欲しいのは、

みんなと一緒に、ずっといたいから。私は…ずっと、一緒に…」

イダの目尻に涙が光る。怯え、怒り、悲しみを感じる。それでもジェイガンは。

「…少し、考えさせてくれ。お前に戦う術を教えることが、本当にいいことなのか。

今の俺には判断できない。少し、少しだけ考えさせてくれ」

ジェイガンは申し訳なさそうに、彼女に頭を下げると踵を返す。

その背中はとてもつらそうに見えたが、今のイダの眼に入ることはなかった。

「あー。いっちゃったにゃあ。いいじゃん、弓とか剣とか教えるくらいならさあ。

ねえ、イダ。わちき、おみゃあは物覚えがええからすぐ覚えられると思うし、

べっつに、護身術程度ならなんでもいいと思うんだけどにゃあ」

グウェンは肩を落とす彼女の背中をポンポンと叩きながら、そう言って慰めた。

「ありがと、グウェン…」

その姿に、いつもの元気は見られない。彼女は自分でも驚いていた。

(―――拒否されるって、辛いんだね)

彼女は願い事をあまり抱かず生きてきた。だから、他者への期待も出来るだけせずに

自分でできることだけをやってきた。人に頼むのは、公式に頼んでいいとされていること…

例えば、仕事上でのお互いの助け合いなど、社会的に当然とされる場合のみだった。

「…やっぱり、欠けてる。私、すごく欠けてる」

ほう、と溜息をつき、目尻の涙を拭いイダは空を仰いだ。

「ジェイガンに賛成してもらえなかったのは残念だけど…グウェン、お願い。

私にナイフとスリングの使い方、教えて!」

グウェンの手をギュッと握り、すがるような目線でそう叫ぶように頼んだ。

その行為に、一瞬にへら、と笑って、そして表情を正すグウェン。

そして、一拍置いて言葉を繋ぐ。

「まあ、ジェイガンもちゃんとわかってるにゃ。一度言い出したらおみゃあさんが

諦めるやつじゃない、ってことくらい。その一度言い出したら、の回数が少なすぎて、

わちきは心配してたにゃあ。ちょっと、わちきは安心したにゃ」

…イダは気づいていただろうか、
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ