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アセイミナイフ -びっくり!転生したら私の奥義は乗用車!?-
第6話「私、戦う」
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よ。それならいいだろ、爺さん』
キカが精霊の言葉でヤズにそう言い、ヤズが拒否の色を示さないのを見て取ると、
『しばらくお前の心には語りかけない。精霊の言葉だけで話す。ちゃんと覚えろよ』
と笑って言う。イダは『うん、わかった』とやはり精霊の言葉で返した。
後は、ジェイガンに頼むべきことだろう。或いは、グウェンにも。
倒れこんだベッドで、イダの心は眠りの世界に落ちていく。心地良い疲れとともに。
―――私は、強くなる。
そう決意して、ストンと彼女の意識は暖かな闇に飲まれていった。
―――そして、今日。
イダはヤズたちにそうしたように、ジェイガンたちにも頭を下げていた。
「戦う術を教えてくれ?」
ジェイガンが何を言っているのかわからん、というように髪を掻いた。
「言葉通りよ。教えて欲しいの。剣でも、弓でもいい。ナイフだっていいから、
ああいう時、自分で戦えるようにしたいの」
真剣な目でジェイガンとグウェンを見つめ、口元をちちおやと同じようにへの字に曲げて
イダは自分の考えを伝えた。
もし、あの盗賊たちが私の力そのものが狙いだとするなら、もう一度こんなことが
あっても不思議じゃないこと。その時は、もう自分の命の保証はないということ。
だから、自分一人でも戦う術がほしい、ということを。
身じろぎ一つせず、彼女は見つめる。数少ない友といえる二人の人でない人に。
「にゃ?別にいいんじゃにゃい?それでわちきら損するわけでにゃあし」
グウェンは実にあっけらかんと言ってのけ、そして「わちき、ナイフとスリングしか
教えられるものにゃあけど、いいにゃ?」と表情一つ変えずに続ける。
「代わりに柿とかりんごとか、毎日食べさせてほしいにゃあ♪」
頼みを聞く時は報酬もきっちりと。それがグラスランナー流だ。
イダは分かった、と一つ頷くとジェイガンを見つめ、そして不安げに云う。
「…ジェイガン。お願い。なんでもいいから、教えて。絶対モノにしてみせるから…」
見つめる怯えと不安がない混ぜになった瞳をジェイガンは見つめている。
―――戦う術がほしい。その言葉を反芻しながら。何度も何度も。
「…イダ。お前…何に怯えてるんだ?」
ジェイガンは聞こえないくらいの小さな声で、そうつぶやく。怯えは遥かに魂の奥。
微かなその流れを彼は見逃さなかった。
呟きは誰の耳にも届かず、音の精霊の伝えるまま世界に拡散していく。
その匂いを感じながら、ジェイガンは―――その怯えを感じながらも。
「…すまん。お前はまだ迷っていると思う。だから、戦う理由をもっと明確にしてくれ。
俺が戦うわけは森を守る戦士だからだ。
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