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鬼と龍の兄弟は
鬼と龍の兄弟は U

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大型宝石店『ジュラーノ』。
暗く広い店内には、一箇所だけに厳重なロックをかけられたショーケースがあった。その中には、現在話題沸騰中の高級宝石『ホルト・ヴィネシス』。

「鬼炎、これだ」
「ああ。・・・龍炎っ」

ハッとした鬼炎が龍炎を突き飛ばし、鬼炎に向って炎が降り注ぐ。

「あー・・・やっぱ見つかっちゃったかぁ」

頭をガリガリかきながら、龍炎が呟く。鬼炎を心配する様子は全くなく、火炎放射器で鬼炎を襲った男たちを逆に不安にさせた。

「お、おとなしく後ろ手に伏せろ!」

男たちは、知らなかっただけなのだ。鬼と龍の伝説を。鬼と龍の、犯罪歴を。

「あークッソ。痛てぇじゃねぇか手前らぁ」

怒りに満ちた声と同時に、10人ほどの男たちの半分が倒れた。残りの男たちはただ驚き、炎の直撃を食らって死んだはずの男を見つめる。

「鬼炎、俺のおかずも残してくれるとありがたいんだが」
「あ?残したぜ、5人だけ」
「一気に倒しすぎるから俺のエモノがなくなっちゃうの。いっつも俺が損してばっかりなんだけど?」

龍炎がそう言って悔しそうに鬼炎を睨むと、当の本人は欠伸をしながら「そんなら早く終わらせてくれよ。俺、早く帰って寝たいから」と間延びした声で言った。

「了解」

短く返事をした龍炎は、舌なめずりをして男たちを見つめる。

「鬼炎がお望みのようなので、左から順に行こうか」

と楽しそうに笑った後、注射針を取り出して一番左端の男に指した。その間、およそ0.4秒。

「・・・ぇ?」
小さく呟いたあと、白目を剥いて倒れる男。

「あー。もうちょい綺麗に倒れろよな。俺、潔癖症なんだけど」

怒ったように溜息をつき、他の4人にも同様にして注射針を指していく。

「お、龍炎良かったな。ちょうど終わったろ、アルカロイド・・・だっけ?」

「・・・帰ろう。眠いんだろ?」

優越感の滲み出た表情で宝石『ホルト・ヴィネシス』を持つと、龍炎は鬼炎をせかして店を出た。それこそ、ごく普通に、客のように。















その二人を望遠鏡で覗く青年が、一人。




「へぇ。あれが、鬼の子と龍の子かぁ」

隣で楽しそうにクスクス笑っていた糸目の男が

「あ、気に入っちゃった?気に入っちゃっちゃっちゃった?」

と尋ねると、口角を歪めた青年は

「そう、気に入っちゃった。俺、あの子達コレクションにする。手伝ってよ、朱糸眼」

と呟いた。






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