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アセイミナイフ -びっくり!転生したら私の奥義は乗用車!?-
第5話「私、説得してみた」
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えず、この香辛料を売ってしまえば、どんなに捨て値で売ってドライベールに半分渡したとしても、
納分の税金を払って余りある。そう、この宿を新築できるくらいにはなるわね」
そう言ってコロコロと笑うヴァレリー。実際、目の前に置かれている袋の量は、最初の日に集めた量の
10倍近くはあった。これを全て売り払えば、間違いなく一財産である。勿論、おおっぴらに売ることは出来ない。
「まあ、ドライベールは王宮にも出入りしているし、うまくやるだろう。うむ」
リックはそう言って頷き、イダに「よくやった」と言って笑いかけた。
「なるほど…たしかにそれなら、わかるか。ゲブリュールと皇家がタダの鎮守ではなく、
魔法の契約までしているとすれば…族長には私から相談しておきます」
ジェイガンもようやく納得したようだ。組んでいた腕を解き、ソファーに再び腰を掛けたのだった。
「ところで、ドライべールって誰にゃ?わちき、聞いた覚え無いにゃ」
グウェンが耳を立ててそういう。グラスランナーはエルフのような尖った耳は持たないが、猫のように毛が
びっしりと生えており、それは時たまピクピクと愛らしく動くのである。
他に、彼らは伴侶と親以外に決して見せることはないが、手や足にも猫の毛が生えているとされる。
「んー…そうだね、グウェンが居る時に来たこと無いから。商会の人よ。それも大きな…カザリ商会っていう
帝都に本店のある大きな商会の支店長さん。いつも森の向こうのウヴァの街にいるよ」
イダがそう説明すると、ほえー、と間の抜けた興味無さそうな声を出してグウェンは沈黙した。
勿論、イダはその態度に眉を吊り上げ、スリッパをぶちかましたのであるが。
「そうと決まれば話は早い。私は早速族長のところへ言ってきます。イダの件…いいな?あの時は、必要な時期、
といったが、こうなれば仕方ない。族長と長老には教え、協力を仰がなければ。全てはそこからになるだろう。
一度言ったことを曲げてしまった。…すまん」
ジェイガンはバツの悪そうな顔でそうイダに謝るが、イダは全く気にしていない、と言わんばかりに
「必要なんだし、仕方ないよ。エルフさんたちのことは任せた!」と言って笑ったのであった。
―――翌日。
ジェイガンがやってきて、エルフの族長の説得はうまくいったことをイダたちに伝えていた。
「いつか族長のところに来てもらうことになるとは思うが、とりあえずは問題解決だ。良かったな」
ジェイガンはいつもの調子に戻って、気安くイダに笑いかけ、そのボサボサの頭をグシグシと乱暴に撫ぜた。
「もう、やめてよ! でも、わかってくれたんだ。ほんとよかったあ…ダメだったらどうしようかと思ったわ」
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