暁 〜小説投稿サイト〜
アセイミナイフ -びっくり!転生したら私の奥義は乗用車!?-
第5話「私、説得してみた」
[4/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
えず、この香辛料を売ってしまえば、どんなに捨て値で売ってドライベールに半分渡したとしても、

納分の税金を払って余りある。そう、この宿を新築できるくらいにはなるわね」

そう言ってコロコロと笑うヴァレリー。実際、目の前に置かれている袋の量は、最初の日に集めた量の

10倍近くはあった。これを全て売り払えば、間違いなく一財産である。勿論、おおっぴらに売ることは出来ない。

「まあ、ドライベールは王宮にも出入りしているし、うまくやるだろう。うむ」

リックはそう言って頷き、イダに「よくやった」と言って笑いかけた。

「なるほど…たしかにそれなら、わかるか。ゲブリュールと皇家がタダの鎮守ではなく、

魔法の契約までしているとすれば…族長には私から相談しておきます」

ジェイガンもようやく納得したようだ。組んでいた腕を解き、ソファーに再び腰を掛けたのだった。

「ところで、ドライべールって誰にゃ?わちき、聞いた覚え無いにゃ」

グウェンが耳を立ててそういう。グラスランナーはエルフのような尖った耳は持たないが、猫のように毛が

びっしりと生えており、それは時たまピクピクと愛らしく動くのである。

他に、彼らは伴侶と親以外に決して見せることはないが、手や足にも猫の毛が生えているとされる。

「んー…そうだね、グウェンが居る時に来たこと無いから。商会の人よ。それも大きな…カザリ商会っていう

帝都に本店のある大きな商会の支店長さん。いつも森の向こうのウヴァの街にいるよ」

イダがそう説明すると、ほえー、と間の抜けた興味無さそうな声を出してグウェンは沈黙した。

勿論、イダはその態度に眉を吊り上げ、スリッパをぶちかましたのであるが。

「そうと決まれば話は早い。私は早速族長のところへ言ってきます。イダの件…いいな?あの時は、必要な時期、

といったが、こうなれば仕方ない。族長と長老には教え、協力を仰がなければ。全てはそこからになるだろう。

一度言ったことを曲げてしまった。…すまん」

ジェイガンはバツの悪そうな顔でそうイダに謝るが、イダは全く気にしていない、と言わんばかりに

「必要なんだし、仕方ないよ。エルフさんたちのことは任せた!」と言って笑ったのであった。



―――翌日。

ジェイガンがやってきて、エルフの族長の説得はうまくいったことをイダたちに伝えていた。

「いつか族長のところに来てもらうことになるとは思うが、とりあえずは問題解決だ。良かったな」

ジェイガンはいつもの調子に戻って、気安くイダに笑いかけ、そのボサボサの頭をグシグシと乱暴に撫ぜた。

「もう、やめてよ! でも、わかってくれたんだ。ほんとよかったあ…ダメだったらどうしようかと思ったわ」

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ