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アセイミナイフ -びっくり!転生したら私の奥義は乗用車!?-
第3話「私、試してみる」
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この世界の技術レベルは中世から近世の辺り。

火縄銃や大筒が存在するのは、おそらくプロイスジェク帝国だけだ。

その世界で…しかも温暖湿潤とはいえ香辛料の生息には適さない森の国プロイスジェクで、香辛料は値千金の存在である。

香辛料自体は南方諸国で栽培されてはいるが、彼らの政策により一般に流通するほどの量は作られてはいない…

因みに、カサス金貨とはプロイスジェク帝国で流通している金貨である。1枚でヘリク銀貨10枚、ケーロス銅貨200枚になる。

それが3〜4枚…普通の一般庶民はカサスが5枚もあれは1年は遊んで暮らせる。

つまり、あのズタ袋から出たものはそれだけの価値を秘めているということだ。しかも。

「しかもーしかも。これ、イネだよ、イネ。柿ほどじゃないけど超珍しい食べ物にゃ。アルロヴァーナにゃあ、

南方のあっついトコじゃないと作れないやつだよね〜これも全部で銀貨2〜3枚の値段はするなり」

グウェンはニコリとも笑わずそれを手に取り、香辛料たちと慎重に選り分けて袋に詰めていた。

「一体何を出そうとしたニャリ?」

グウェンが多少咎めの色をにじませながら、イダに問いかけた。

「いやあ、南方の王宮料理で、香辛料とか野菜をいっぱい使った料理があるって聞いててね。それを出そうと」

慌てふためきながら、わてわてと言葉をつなぐイダの姿を見て、二人は嘆息した。

更にグウェンはその言葉に「うっは、贅沢極まる願い事にゃあ」と呆れ半分な声を出し、収集作業を再会するのだった。

「料理の材料になる実や肉を喚び出すことの出来る袋か…これは、やばいな。

これを人に知らせるわけにはいかんだろう。ヘタな材料で料理すりゃ、噂が広がって…最悪、官吏に捕まっちまう」

ジェイガンは至極まっとうな意見を言いながら、その香辛料…胡椒の最後の粒を自分の袋に入れていた。

「いくら俺たちエルフが現世利益に疎いからといっても、こんなもんを見せたらそうなることくらいはわかる」

ため息をつきながら、彼は難しい顔をして腕を組みうつむいた。

「…ええっと…」

冷めたグウェンと困るジェイガンを余所目に、イダはそれがどんなものなのか考えていた。

(…材料、材料ね。このズタ袋は材料を喚び出すもの!これは使える!)

そう心の中で思い、グウェンとジェイガンを見やる。彼らはいつの間にか少女を見つめ、何事かを言いたそうに

していたのだが…口火を切ったのはイダの方だった。

「…多分、ジェイガンが言った通り、料理の材料を喚び出すものなんだと思う。

私、もし、できたら、と思って色々思い浮かべてみたんだけど…」

イダはわざと自信無さ気にそう言った。内心では、かなり自信を持っていたが、あまり気
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