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アセイミナイフ -びっくり!転生したら私の奥義は乗用車!?-
第3話「私、試してみる」
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腹からその袋へと切り替えていた。
「…じゃあ、もうひとつ、使える力があると思うんだ。見てて」
イダはそう言うと、驚く二人を尻目に手に意識を集中した。
(お願い、出て。あのズタ袋…!)
念じて直ぐに反応がある。ズン、となにか大きなものを地面に落としたような音を立てて、何か手に握られる。
「…これは…」ジェイガンは訝しげに、グウェンは目を爛々と輝かせて彼女の手に握られた大きなズタ袋を
見つめている。それは、本当に汚いズタ袋、という体で口が彼女の手に握られていた。
「…何が入ってるんだろう」「やめろ!危険かもしれないぞ!」ジェイガンの声が聞こえる。だけど、イダは。
「試してみないとわからないから、試してみる。危険そうだったら、離れてて」
まるで危険などない、と確信しているかのように、ズタ袋に手を突っ込み、そして引きぬいた。
…引きぬいたその先に何があったか。それは…
「うおおおおおおおおお!?!?すんげーにゃ!これ、りんご!?ねえねえ、りんごでしょ!?」
グウェンが足をばたつかせながら、イダが手に持ったそれを奪い取った。
それはまさにりんごだった。それも、見よ。最高の「ふじ」だ。生前のイダ…つくしが一番好きだった品種のりんご。
それはイダの昨晩の想い…「甘いモノが食べたい」という欲望を忠実に具現したかのような、
見るだけで喉の鳴るような見事なりんごだった。
「…おいおい、マジか。りんごなんて、大陸西部まで行かないと食べられないっていうのに…!?」
ジェイガンは心底の驚愕とともに、グウェンからその熟した身を奪い取る。
「…俺も実物は初めて見るぞ。どういうことだ?その袋…中を見ていいか?」
ジェイガンはそう言うと、イダが促されるままに渡したズタ袋の中身を見る。
「…何もない、だと?」
そう、その袋には何も入っていなかった。それこそ、何も。空気すら入っていないのではないか、と
思えるほど、チリひとつ入ってはいなかった。
「ほんとに何も入ってないわね…えっと、じゃあ、私がなにか取り出してみるね。うーん…よっと」
イダが再び手を入れると、手を入れた一瞬、中身が何も見えなくなる。そして…次の瞬間。
「これは…柿、伝説の柿にゃ!?うそーーーーーん!?ええええええ!?マジカ!マジかにゃ!?」
今度はグウェンが素っ頓狂な叫び声を上げた。そう、それはイダも知っている。柿はこの大陸に一切ない。
荒れる大洋とも言われる東方大洋を乗り越え数千里を行ったところにある東方大陸にしか存在しない、
この大陸では柘榴などと共に「伝説の果物」とまで呼ばれる貴重な果物であった。
「ねぇねえ!食べていい!?食べていいかにゃ!?ねえねえ
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