第五十九話〜見え始めた終幕〜
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わない手でヴィヴィオの顔に手を伸ばす。敵意も魔力も篭っていない手に聖王の鎧は反応せず、ライの手は彼女の頬を撫でた。
そこから感じる温もりの心地よさにヴィヴィオの心は弛緩する。
「今はおやすみ。君の悪夢はもう終わるから」
その言葉を紡ぐと、ライは頬に触れていた手を振り抜き、ヴィヴィオの顎を急激に揺らすことで彼女の脳を揺さぶった。
そして戦闘の防御面に関しては聖王の鎧に頼り切りであった彼女が、その衝撃に耐え切れるわけもなく、彼女は意識を落とす。
意識を失ったことで前のめりに倒れる彼女をライは抱くように受け止める。しかし、戦闘の傷と疲労で足がぐらつき、受け止めることに成功はしたがそのままライは尻餅をついた。
「っと………最後にこれじゃ格好がつかないな」
どこか自嘲気味にそう言うライであったが、その表情には安堵と達成感を表情から滲ませていた。
先程まで激しく、苛烈で、煌びやかな戦闘をしていたとは思えないほどに簡単な幕切れ。この戦いはある意味歴史に残るほど戦いであった。何しろ、次元世界のある意味中心である世界の今後を決める事件で会ったのだから。
だが、歴史に名を残す戦というものの終わりは得てして呆気なく終わるものである。
大きな戦い、戦争や紛争などでもたった一枚の調印で終結するようにこの2人の王の戦いは静かに幕を閉じた。
アースラ
ライがヴィヴィオとの戦いを終えた頃、ここアースラのブリッジでもようやくの落ち着きを見せていた。
押され気味であった戦線は何とか維持することができ、敵戦力の中核であった戦闘機人達も六課メンバーが取り押さえ、後は攻めて来ている残敵とゆりかご直下に配備されているナイトメアフレーム群の排除だけとなっていた。主犯であるジェイル・スカリエッティも先ほどなのはとフェイトの2人からの報告で確保に成功し、今ははやて達と合流しようとしている。
現時点で今回の事件の集結は時間の問題。もちろん今回の戦闘で多くの被害は出ているが、この戦闘の終わりが見えてために気持ちの余裕が生まれていたために、敵に押されていた時の悲壮感と焦燥感は拭われていた。
今、アースラのブリッジにいる六課のオペレーター陣はライから受け取った指揮系統を統括しながら事態収拾に勤しんでいる。
そんな中、1本の通信が飛び込んでくる。その通信は今回の事件で聖王教会側からの協力者であるシャッハ・ヌエラと聖王教会との個人的な繋がりを持ち、管理局の査察部に所属しているヴェロッサ・アコースの2人からであった。
この2人は今、ミッドチルダ市街ではなく、郊外にあるスカリエッティのアジトを抑えるために別行動を取っていた。
2人からの通信は施設の確保に成功したか、若しくは増援要請かと思われたが、その内容はひどく危険なもの
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