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アセイミナイフ -びっくり!転生したら私の奥義は乗用車!?-
第2話「私、帰ってこれた」
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に泊まっていってくれ!ささやかだが、娘を助けてくれた礼をしたい!」

リックはおもむろに立ち上がるとそう宣言した。それにモンジンと呼ばれた金の短髪を持つ弓戦士が答える。

「…残念ですが、私とコウジンは族長への報告がありますので。ここはジェイガンだけということにしてください」

ニコやかにいうモンジンにリックは「そうか、あいつも真面目だからな」と長年の友人を語るかのように気安く

エルフの族長への感想を述べた。

「おい…報告は俺がするって…」

咎めるジェイガンの意見をモンジンとコウジンは笑いながら封じ込めた。コウジンは銀の長髪を持つ。

装いからすると精霊使いのようだ。

「気にしないでよ。一番心配して、捜索隊に是が非でも、って志願した癖に」

「そうそう。イダちゃんと一緒にいてあげなよ。幼馴染なんでしょ?昔はおむつ替えたりもしてたよねえ」

見た目はジェイガンと大差ないが、彼女らはジェイガンより歳上なのだろう。ジェイガンに有無を言わせなかった。

エルフもグラスランナーも、大人になると見た目の成長が止まるため、外見で年齢の判断はつけにくい。

「ほら、先輩たちもこう言ってるにぇ。もてなしは固辞するもんじゃないにゃ」

グウェンは、肩まで伸ばした桃色の髪の毛をいじりながら、その茶色の瞳を輝かせている。

明らかにヴァレリーの料理を期待しているのだろう。グラスランナーたちは習性上獣肉を好むのだが、

森住みのグラスランナーは動物や魔物の少ない遣いの森の中でその機会が少ない。

それに対して、森からしばらく離れたところにある冒険者達の中継点から物資を仕入れているカヴェリでは

肉料理を出すことも多い。それゆえに、グウェンは瞳をもう壮絶にらんらんと輝かせていた。

「もうひと月も肉食べてないにゃ。肉肉ーにく〜!」

「ヴァレリー、そろそろイダを離してやれ。さあ、宴の準備をするぞ!」

待ちきれない、とばかりに暴れ始めるグウェンの様子を見たリックは、なお泣きじゃくるヴァレリーに促すと、

「イダ。お前にも手伝ってもらうぞ。その様子なら、大丈夫だろ?」と言って、ヴァレリーと共に抱き上げる。

その容姿に似合わず、相当の膂力だ。軽いとはいえ女性二人をまるで軽石のように持ち上げたのだから。

「わ。わっ!お父さん、やめて!恥ずかしいから!」

「…リック、リックぅ…」

リックの首にしがみつくヴァレリーと、逃げようとするイダを軽くいなしてリックは厨房へ消えていった。

それと同時に、コウジンとモンジンも席を外して宿を後にする。残されたのは目を危険な輝きで満たしたグウェンと

それをため息混じりに見つめるジェイガンだけだった。

それから6時間の間、楽しげな声
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