意識
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どうかしたの? 千李姉さん」
「ん、アレ見て少し懐かしいなぁって思ってね」
千李が指をさした先を大和が追うと、そこには川原で仲が良さそうに遊ぶ小学生くらいの子供達がいた。中には女の子もおり、皆わいわいと遊んでいる。
「大和たちと初めて会ったのもちょうどこの川原だったわね」
「うん、最初はびっくりしたよ。モモ姉さんに姉がいたなんてさ、しかも双子」
「ハハッ。まぁ私もびっくりよ、帰ってきたら妹が増えてたし」
懐かしげに語る千李は目を細め、夕日に輝く水面を見やる。
「けど、あんた達と会えて本当によかったわ。ありがとね大和」
「どうしたのさいきなり改まって」
「んー? 懐かしさに浸りすぎちゃったかしらねー」
少し気恥ずかしげに笑う千李は頬を掻いた。大和もそれに少し笑みを浮かべるが、先ほどから胸はドキドキしっぱなしだ。
なぜなら、千李の顔には夕日が当たっており、何時にも増してその整った顔立ちが強調されているのだ。そして時折見せる笑顔も妙に色っぽく感じてしまうのだ。もしかしたら顔が赤くなっているかもしれないが、今の大和にそれを確認するまでの余裕はなかった。
……ヤバイ、本当にこれはヤバイ。意識しすぎだろ。
何とか顔に上った血を下げようとするものの、それはいっこうに下がらない。すると、千李が振り向き大和に告げた。
「さて、そろそろ行きましょうかね。でもこのまま帰るのもなんだし、仲見世通りにでもいく?」
「う、うん。俺は別に構わないよ」
「そう。じゃあ、ちょっと急ぐわよっと!!」
「えっ?」
大和が疑問の声を漏らしたのもつかの間、千李は大和の手を取り駆け出した。大和はそれに若干引きずられる形となっているが、内心で大和はこちらの方がいいと思った。なぜならばこの形であればおそらく赤面しているであろう自分の顔を千李に見られなくてすむからだ。
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