意識
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クリスはそう頷くと持参した稲荷寿司をムグムグと咀嚼した。
しかし、大和は一応平静を装ってみたものの、内心ではただ悶々と千李のことを考えてしまっていた。
ちょうどその頃千李は百代と向かい合いながら昼食をとっていた。勿論昼食は瑠奈ががんばって作ったおにぎりだ。
「なぁ姉さん」
「んー?」
「瑠奈の作ったおにぎりって美味いのか? 結構でっかいけど」
「そうねぇ……はっきり言っちゃえばちょっと塩振り過ぎだけど、まぁそのうちわかるでしょ。それに子供の作ったものは何でも美味く感じるもんよ。というか、せっかく作ってくれてるんだもの受け取らなきゃあの子がかわいそうでしょ?」
「ふーん。まぁ最後の方はわかるが……やっぱり子供が出来るとそういうもんなのか」
「まぁね。というかそんなに気になるんだったら大和とでも付き合えば?」
「ぶはッ!?」
千李の突拍子もない発言に飲んでいた桃ジュースを軽く吹いてしまった百代だが、千李はそれを軽くよける。
「そんな驚くこと? アンタだって大和のこと気に入ってるんでしょ? だったらもう付き合っちゃえばいいじゃない」
「そ、それはそうだけど。大和は舎弟だ。付き合うとかそういうんじゃない」
「ふーん……。じゃあ私がもらってもいいわけだ」
「え? そ、それはダメだ!!」
「何でよ、別にアンタの舎弟でもアンタの物ってわけじゃないでしょ?」
ニヤリと不適に笑う千李に百代は若干たじろぎながら、首を横に振る。
「ダメなものはダメだ! アイツは私の舎弟なんだから例え姉さんでも盗る事は許さないぞ!」
「別に寝取るわけじゃないんだからそんなムキにならないでって。……でもさ、もし大和の方から私に告って来たらどうする?」
「そ、それは……物理的に私のほうに戻ってくるようにする?」
「何で疑問系よ。しかもなんか地味に恐ろしいし……」
百代の案に苦笑いしながら千李はウーロン茶を一口飲む。百代も気を落ち着かせるためか小ぢんまりと足をたたみ桃ジュースを飲む。
その後はそこまで変な風にはならず、いつものように千李たちは昼食を終えた。
放課後、千李と大和は二人で帰路に着いた。他のメンバーは各自用事があるようで今はいない。二人の間に会話はなく、沈黙が流れているだけだった。
しかし、大和は内心でかなりドキドキとしていた。
……くそー、昼にクリスが変なこと言うから妙に千李姉さんを意識してる。沈黙が痛い……。
大和が悩んでいるのをつゆ知らず、千李は特に気にした風もなく歩を進めている。だが、唐突に千李が歩みを止めた。彼女は川原のある一点を見つめており、微笑を浮かべていた。
「
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