暁 〜小説投稿サイト〜
《SWORD ART ONLINE》ファントムバレット〜《殺し屋ピエロ》
再び戦場へ
[3/6]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
キンキンと反響する罵倒に仰け反りつつも、器用にジョッキを傾け続ける中年の男ーーコヨーテは、それが空になったと知るなり、通りかかったNPCに声をかけた。コヨーテは灰色の髪を後ろに撫でつけ、青い瞳をもったプレイヤーだ。とりたてて特徴のある男ではないが、仮想空間に慣れた佇まいと、静かな迫力をたたえた瞳が、相当な実力者だと物語っていた。
「無視しないでよ! この飲んだくれのトンチキ野郎!」
ガーッと詰め寄るリリアンヌの顎を押さえるコヨーテは、精悍な顔を小揺るぎもさせず、運ばれてきた新しいジョッキを手に取った。
「こらこら、女の子がそんな乱暴な言葉使わないの。だいだい、貧しいオッサンの至福の一時を邪魔しちゃ罰が当たるよ」
「知るか! というか子供扱いしないでよ。もう高校生だって何回も言ってるじゃん!」
「はっはっはー、相変わらずリリアンヌちゃんは合法ロリの道まっしぐらなんだね」
「ふ、っざけないで変態ー!」
ジョッキがたたき落とされ中身が盛大に零れた。コヨーテの悲痛な声を聞きながら、リリアンヌは鼻息荒く椅子に腰を下ろし、むすっとふくれっ面を作った。
自慢の灰色にカスタマイズされた迷彩服と、汎用性の高い茶色のアサルトライフルSCAR-Lを水浸しにされ、流石に怒ったコヨーテがリリアンヌを睨みつける。
「ちょっと、何イライラしてるんだいリリアンヌちゃん。最近ずっとそうじゃない」
咎める彼の口調に、リリアンヌは唇をぎゅっと引き結び、あらぬ方向を向いた。そのまま気不味い沈黙を味わうこと数秒。先にリリアンヌの方が口をもごもごさせて謝った。
「ごめん。ちょっとやり過ぎた」
ぶっきらぼうながら、本気ですまないと思っているらしい言葉に、コヨーテも肩の力を抜く。リリアンヌの気分を逆撫でしないように気をつけつつ、コヨーテは慎重に話を切り出した。
「理由を話しくれよ。ほら、僕たちコンビ組んで長いでしょ? 無理にとは言わないけど、打ち明けた方が楽になる事もあるよ? オッサンぐらい生きていると自然と分かるんだなぁ、そういうの」
気楽な声に背中を押され、一つ溜息をついたリリアンヌは、ふかふかのスカートの端を整えつつ、めんどくさそうに言った。
「別に、そんな大層な悩みって訳じゃないの。ただ退屈ーって感じるんだ。私と戦える相手なんて、あなたを含めてもサーバーに10人いないよ。……ホントつまんなくなっちゃたよね、このゲーム。……あの人がいなくなってからは特にさ」
その話にピンとくる所があったらしく、コヨーテは何気ない感じを装って聞いた。
「……えっと間違ってたら悪いんだけど、それってもしかしてメイソンちゃんのこと?」
「……」
フリルをいじり始めたリリアンヌに、コヨーテは如何にも困ったとい
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ