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アセイミナイフ -びっくり!転生したら私の奥義は乗用車!?-
第1話「私、思い出した」
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アルロヴァーナ大陸。この女神の星と呼ばれる天体の北部に存在する大陸の一つ。

南のダグダム大陸と赤道を挟んで向かい合い、その間にはユーゼスニア海と呼ばれる浅い大洋とウケットモ諸島と呼ばれる点在する島々がある。

大陸の大きさはおよそ2300万平方キロメートル。2つの大国と数十の中小国家からなるその大陸の東の外れにそれはある。

東方大洋からの強烈な貿易風から穀倉地帯を守る防風林の役目も果たす鬱蒼と茂る森。

人はこの大きな森を、「遣いの森」と呼んで畏れていた。

その森の外縁部。低木が生える草原地帯との境目に、その宿屋はひっそりと存在している。

看板には…地球のいずれの言葉とも違う言語で、こう書かれていた。「森の宿カヴェリ」と。



遣いの森にはエルフと野走が住んでいるという。森の娘と呼ばれるエルフたち、そして草原の野走…グラスランナーは、

遠い昔からひとつの伝説を信じ、この森を守護していた。…この森には勇者が現れるという伝説があるのだ。

天と諸神を生みし慈愛と祈りの女神ルアクサが、世界を滅ぼす何者かを倒させるために、勇者を遣わすという

ありふれた英雄伝説がこの国…東方の大国「プロイスジェク帝国」には伝わっている。

その森に一軒だけある小さな宿カヴェリ。そこから少女の声が聞こえてくる。そう…少女の元気な…

「だから…それじゃ無理よ…お母さん…お父さん…経営感覚無さすぎ…」

元気な声は聞こえなかった!

黒髪黒目、長い髪はボサボサで一房だけ三つ編みに結われている。目の下には大きなクマ…大きなくりくりとした瞳の印象を

破壊するジットリとした印象を醸し出していた。背は低く、胸も小さい。見た目は12歳ほどだろうか?

その大きな目の下に巨大なクマを作った少女は自嘲気味につぶやく。

幅広の白いエプロン、黒いワンピースとニーソックスを身につけ、銀のペンダントを首にかけている。

その中央には、決して安物ではない宝石…ペリドットが収まっていた。

「エルフさんたちの援助に頼ってばかりで、全然お金たまらないじゃない…私の、たったひとつのお願い、忘れた?

忘れたならいいよ。別に。自分で叶えるから。もう、私15歳だし。ふん」

金髪碧眼で背が高く整った顔立ちのの父と、自分と同じ黒髪黒目…そしてどこか幼い印象を受ける母を、

まるで頭の悪い動物でも見るかのようなジットリとした瞳で続ける言葉は父母の心を大変深くえぐっていく。

「すまあああん!俺が悪かった!お前がそんなにあの変なタペストリが欲しいとは思ってなかった!」

父が絶叫しながら土下座すると、母はそんな父の方を抱いて

「イダちゃん…酷い!あのタペストリ、100年も前の代物じゃない!それに、あの…こ
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