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アセイミナイフ -びっくり!転生したら私の奥義は乗用車!?-
第1話「私、思い出した」
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そして、白磁のような白い肌、青く輝く黒の髪、人ではありえない深い深いどんな黒をも塗りこめる闇色よりも尚闇色の瞳。
妖しげな魅力をたたえたその女性は、白く透き通るようなベルベットのカーテンの中で一人佇んでいる。
闇色の瞳が輝く。輝くその瞳は、古い記憶を手繰っていた。
「あの男」
暗く、静かに、楽しげに彼女は微笑む。自分を生まれ故郷から放逐した男。その世界では勇者と呼ばれていた男。
あの銀の男に敗れ、世界を放逐され、そして故郷の創造神から与えられた力で、この世界を作った頃を想う。
今では愛おしくさえある男の顔を思い浮かべ、そして今の自らの世界に想いを馳せる。
光とて100億の巡りを経ねば、端から端まで往くことは出来ぬ、膨らんでいかぬ漆黒の天。
そこに満たす物質と魔素(マナ)と神素(エーテル)。この地…数少ない0次元の残りカスにたどり着くまでの、
一瞬の中の永遠、刹那の中の無限の時間の中で知り得たモノをつぎ込んで、つぎ込んで、つぎ込んで。
そうして、星々が生まれ得る基と、5人の息子と、6人の娘を生み出した100億のめぐりの前。
それから50億の巡りを経て、生まれた星々は何十度目かの超新星を生み出し、準備は整った。
重い物質が、惑星を形作るのに十分なほどに天に満ちたのである。
かくて、彼女の生み出した5人の息子は、彼女のために惑星を一つと太陽を一つ。五つの月と二つの彗星を創造した。
そこは『女神の星』。女神のために造られた、女神の星。そこには彼女の夢が詰め込まれていく…
そして、50億のめぐりが過ぎた。
「まさか、あのようなものが生まれようとは」
想像していなかった、と彼女は頭を振る。楽しげだった瞳に、憂いと虚無が生まれる。如何にして止めようか。
ここ数億の巡りはそればかりを考えている。しかし、今の彼女に憂いの源を止める力はない。
それが歯がゆい。真っ白な肌に爪を立て、彼女は憎悪と怒りに震える。
そう。妾には創造神らしい全てがいらない。そんなものはとうの昔に使いきってしまった。
妾に必要なのは、狂おしいほどの願い。弱く、儚く、しかし確かに。そういうものでなければ、妾の力には耐えられぬ。
…虚無が瞳を覆い、そして彼女は眠りにつく。那由他の中の刹那に彼女は目を覚ますだろう。
―――そんな、夢をみた。
頭は重く、体はだるく、腹に鈍い痛み。それがイダが覚醒した際に感じたすべてであった。
「なに…なん…なの」
力ない呟きが漏れる。気づいて、手足を動かそうとする…動かない。そうだ。私は何をされたんだったか。
イダの思考はまとまらない。まとまろうとしても、それは痺れとともに消えていった。
「…あ…れ
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