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アセイミナイフ -びっくり!転生したら私の奥義は乗用車!?-
第1話「私、思い出した」
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丸太を一人で持ち運ぶ方法を考えろ、夜に光を生み出せ、エルフさんと追いかけっこして勝ったらお願いを聞く…」
なんの修行だよ、と彼女はストレス解消用のボロ布…いや、元はクマのぬいぐるみであったろうそれに鉄拳を叩きこむ。
ドガン、と少女の体躯で殴っても出ないであろう大きな音を立てて、ボロ布はドアにぶつかって、ポテン、と落ちた。
「ちょっと、キカ…」
誰もいないはずの空間へ向けて、少女の言葉が飛んだ。そこには…厚いヒゲを持つ老人の姿がある。
いや、老人…ではない。ひと目で分かる。その背は人間の10分の1もなく、そして服の代わりにその厚いヒゲが全身を覆っていたからだ。
「効果音はいらないかね。」
「いらない。ほんとに、貴方ブラウニー?」
「いかにも、ワシはブラウニー。家に住む精霊よ」
しわがれた楽しそうな声が聞こえる。イダはため息をついて、そして気だるげに彼を視界から外す。
そう、この世界には多くの精霊が存在する。彼はその内の一つ、家の精霊ブラウニー。
家々に住み着き、さりげない謝礼と引換に、家主の仕事を手伝う精霊である。
「もう…お願いごと叶ったから、次のお願い考えようと思ってたのにさ。どうしてこうなっちゃうんだか…」
「お主のルールを知っておるからじゃよ。常に一つだけ願い事を抱いて生きる。そうすれば、どんなにやる気が起きなくとも、
その願いのために奮起できる、とお主が信じておるから、その願いに見合った試練を与えられるのであろう」
それは彼女の習性、のようなものだった。幼い頃から何か願いを…いわゆる三大欲求以外の願い事は、一つ以上抱こうと思わない。
アレもしたい、これもしたい、という欲望を持たないようにしている。
両親がそれほど裕福そうに見えないこともあったろう。それでも彼女には、多くの欲望、願望なんて持てそうになかった。
「まあ、お主は一度そうと決めたら邁進するからのう。それを見るのが可愛くて仕方ないのだろうて」
カラカラとブラウニーの老人は笑う。笑いながら、愛おしそうにイダを見つめ、そして呟いた。
「…宿の経営改善など、意志持たぬ精霊に、意を与える稀なるものにふさわしい試練とは、思えぬがのう」
「なにか言った?」
咎める目線が向けられたことに気づくと、即座にキカは姿を隠す。
「何も言ってはおらぬよ。ワシに助言を求めたければ、ワシのためにシャツを用立てておくれお嬢さん。さすれば、家の精霊にふさわしい加護があろうよ」
笑いの混じった言葉に、イダは「服が手に入ったら出ていく、って伝承は嘘なの?」と、嫌味に湿った言葉を投げかける。
それに対して、悪びれもしない声が聞こえてきた。
「それは人間の勝手な妄想じゃ。人間以外
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