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アセイミナイフ -びっくり!転生したら私の奥義は乗用車!?-
第1話「私、思い出した」
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患者ID:000000000674 患者氏名__広場_つくし__印 医師_******____印
「…なんじゃこりゃ。アホか?下手な詐欺師より非道じゃない。
しっかもところどころ文字かすれてるし…意味分かんない」
書式は間違いなく、病院などでよく使われる患者への説明書、同意書だ。だが、内容が頓珍漢。
つくしは混乱して、その紙を見つめる。
「ゲ。本印押してあるじゃん。マジか…誰よ、私の印鑑盗んだの!」
怪訝に思いながらも、だが、怒るべきところは怒っているつくしは、説明書をポイ、と投げ捨て
「アホらし。ただの夢だね、こりゃ。あー…ま、いいか。どうせ終わったことだし、私の願いは…」
ふと、足元がふわりと浮くのを感じる。ふわりと浮いて、そしてドンドンと落ちていく。
「ほら、やっぱり夢じゃん。死ぬってんならもっと早くしてよね。面倒くさいし」
何が起きてるのかはよくわからない。だが、とりあえず夢であるのは間違いなかろう。
そう判断して、彼女は奈落へと落ちていく。上からバッグとズタ袋も一緒に落ちていく。
風を切って、光の中を、闇の中を。十万億土へ至る道を。
「お、お、おおおお!うおおおおおおおお!!!?」
素っ頓狂な叫び声を上げながら落ちていく。轟々と風が耳障りだ。
カラダは風に揉まれ、あらゆる方向に曲がっていく。痛い痛い痛い!!
落ちて、落ちて、落ちて、落ちて。そして。
青空が開ける。その下の、鬱蒼と茂る緑の森が視界に入る。ああ、こりゃ夢だ。絶対夢だ!
叫びながら彼女はドンドンと落ちていく。…彼女は、黒髪黒目の幼い顔をした少女のお腹に激突し、
そして意識を失った。そして、意識を―――
―――生まれ生まれ生まれ生まれて。生の始めに暗く。
―――――――死に死に死に死にて。死の終りに冥し。
目が覚めた時、彼女は別人となっていた。
―――そして、今。
「思い出したあああああああ!!!」
大音声が盗賊のアジトに響き渡る。彼女の声が、爆発するように響き渡る。
「ちょ…おい!どういうこっった!?」
薬と縄で彼女の動きを奪い、そして猿轡までしていたのだ。火事場の馬鹿力にしても明らかにおかしい。
「あの同意書書いた奴!絶対見つけてやるわああああああ!!!」
また、大音声。もはや、縄も、猿轡もしっかりと切られていた。
…そんな彼女の手に何が握られていたか。
「我々の世界の人間なら」ある程度は分かるのではなかろうか。
それは…肥後守と呼ばれるフォールディングナイフの一種。かつて昭和30年代頃までの小学生には、
必需品だったものだ。なぜ、そんなものを彼女
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