暁 〜小説投稿サイト〜
アセイミナイフ -びっくり!転生したら私の奥義は乗用車!?-
第1話「私、思い出した」
[11/14]
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
ふられている。
レトロウィルスの一種と思われるそれは、これまで知られていた如何なる致死性のウィルス・細菌とも違った
恐るべき特性を持っていた。
特筆すべきなのは感染力である。通常、致死性の高い病原体は、宿主を素早く殺してしまうがゆえに
その住処を拡散することができない。しかし、CCHC-001は全く異なっていた。
彼らは宿主を殺さないのだ。それ故か、彼らの感染力はインフルエンザウィルスの30%程度と推定されている。
宿主に侵入した彼らは、遺伝子を書き換え、その内部に葉緑素を作り出す因子を
植えこんでいく。そして、それがある一定の状態になった時、肢体のおおよそ7割が植物のように固まり、
同時に根が生え地面と接続される。後は…全身の葉緑素と根からのエネルギー補給によって、
脳が枯死するまで…数年先か、数十年先か…或いはもっとか。
それまで生かされ続けるであろうことが示唆された最悪の病原体である。
これが確認された瞬間、世界中に大きな衝撃が走った。某国は異例の早さで編成された国連軍によって閉鎖。
それまでに200万人近くが緑化病の犠牲となり、文字通りの植物人間と化していた。
国連総会では満場一致で核兵器とサーモバリック爆薬の全面使用が認められ、そして…
―――きのこ雲だ。
ああ、多分国連軍か何かが編成されて、戦術核兵器でも打ち込んでいるんだろう。
手ぬるいね。戦略核兵器で一気に消し飛ばせばいいのにね。あははは。
心の中で笑う。笑うしかなかった。それでもいいと思える自分に驚きながら、笑い続ける。
ふと、綺麗だと思った。2つ目。3つ目。きのこ雲がいくつも咲いていく。
…ああ、何個目かのそれが咲く時、全部終わるんだな。
つくしは冷めた頭で、そんなことを考えていた。
思えば35年間、色々なことがあった。両親と早く死に別れた彼女は、多くの望みを抱くことを頑なに
拒否していた。願い事は一つだけいだき、そこへ向かって直進する。
そういう生き方を望んで選択した。アレもしたい、これもしたいなど、望めなかった。
そればかりか、普通の幸せすらも彼女は拒否していた。
普通の幸せなんて、必要ない。必要なのは一つだけの願い。
一つ願いを叶えると、もうひとつ願いを探す。叶えたら、また次へ。
そのたびに、死んでもいい、と思いながら生きてきた。
三大欲求以外の全てをそこに集約していった。特に好きなのは旅だ。
気がつけば友達もいくらか増え、そして今、一つだけの望み「アフリカへの旅」を終え、死んでいく。
自分が不用意に立ち入ったサバンナの一角。あそこに行かなければ、とも思ったが後の祭りだ。
どうしてこうなったん
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ